研究課題/領域番号 |
22K12994
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
藤本 憲正 国際日本文化研究センター, 研究部, プロジェクト研究員 (90847203)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 人権 / 宗教間対話 / 世俗主義 / 伝統 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、W・C・スミスの伝統理解と世俗主義批判を再検討し、その現代的意義を明らかにすることを通して、現代社会における新たな社会的共同性の創出の方法を解明することにある。とくに、宗教や伝統などの文化的資源を活用する創出の方法の解明を目指している。 本研究は2年計画であり、初年度は、スミスに関する基礎文献と関連研究の調査を行った。関連の研究者に連絡を取り、議論を行った。具体的には、スミスと関係の深い、ドイツの神学者ハンス・キュングの人権に関する議論を再検討した。スミスとも交友のあった、宗教間対話を推進した人物である。その際に、宗教と人権の相互関係を論じているドイツの社会学者ハンス・ヨアスの主張を整理した。人権が、どのように現在のような準普遍的な倫理的基準としての地位を獲得したのかを思想史的に論じている。それを踏まえつつ、キュングの議論におけるパラダイム論と世界倫理の構想を見直した。それにより、キュングの人権を中心とする主張の特徴が、「未来志向」に由来することが分かった。また、スミスは同様の立場に立つ面と異なる面があることが分かった。 並行して、スミスとも関連のあった仏教思想家の阿部正雄について論文をまとめ、発表した。それにより、スミスらと同時期の議論の広がりを把握することができた。キュングやスミスが、宗教をめぐってどのような関心の中で議論していたのか、欧米だけでなく、東アジアの文脈を踏まえた内容を把握できた。とくに阿部は、未来に関する倫理的主張を仏教の側から述べていて、スミスらと対比的に位置づけることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スミスの伝統と世俗の概念をどのように評価するべきか、方法と文脈の判断に困難があり、当初想定より広い範囲で資料を調査した。そのため、当初想定していたより時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、初年度の成果を踏まえて、議論を整理し、成果論文の投稿をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、旅費に当てる額が減り、研究計画の優先順位を変更したため。次年度の旅費または物品費等に利用する。
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