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2023 年度 実施状況報告書

統計分析に基づく古代ギリシア墓碑体系の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K13007
研究機関新潟大学

研究代表者

田中 咲子  新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (00641101)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード古代ギリシア / 葬礼 / 墓碑 / 死生観
研究実績の概要

2023年度は次の①と②の調査を実施した。①ギリシャ、テーベ博物館におけるボイオティア地方の墓碑の調査。これは当初計画に沿ったものである。ボイオティアはアッティカ地方に隣接し、アルカイック時代以来、浮き彫り墓碑が建立されてきた。アッティカからの大きな影響を受けながらも独自の形式や図像が展開した。今回の調査で、アルカイック時代からクラシック時代にかけての従来未見であった墓碑作例を多々実見調査することが叶った。とりわけ「ムナシテイオスの墓碑」と呼ばれる墓碑浮彫の銘文調査が可能となった。また、副葬品とその出土状況の調査も同時に行うことができた。②シドニー大学博物館における調査。当館が所蔵する前5世紀の陶器を実見調査すべく、シドニー調査を行った。墓碑浮彫の断片も確認できた。
以上の調査のほか、12月に来日したウィーン大学のマリオン・マイヤー教授の講演聴講及び意見交換のため、京都に出張した。2023年度初めに開催予定であったオーストリア考古学会(インスブルック大学)が一年延期となり、2023年度後半はその発表準備を進めた。
テーベ博物館蔵「ムナシテイオスの墓碑」をはじめ、墓碑浮彫に表される人物像は青年が多いことがわかっている。今年度の調査及び検討を通じて、この傾向が墓碑浮彫のみならず陶器画や陶板にも見出せること、そしてそれがアッティカ地方にとどまらずボイオティア地方にも見出せることが明らかになりつつある。未成年もしくは若者の死に対する独特の葬礼観があったことがうかがえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画ではデータ入力を完了の予定であったが、作例数が膨大であるゆえに近年の研究動向の整理にも時間を要し、遅れている。
海外での調査においては日程の確保と交通手段の確保が難しく、一昨年度(初年度)に実施できていない場所がいくつか残る。とはいえ、代替となる調査地を調査することもでき、海外調査はおおむね順調に進められている。

今後の研究の推進方策

2024年度は、遅れている墓碑のデータ整理を進めるが、作例数が膨大であるため、対象をアスリート図像に限定することとする。アスリート図像は作例数も多く、年代的にもアルカイック時代からクラシック時代にかけて幅広く分布しているため、今後の調査の指標を得られると期待できる。データ入力は8月を目処に終了させる。現地調査については、9月にギリシャの島嶼部を中心とした調査を実施する。年度末までにデータ解析を行い、論文投稿の準備をする。

次年度使用額が生じた理由

2023年度のギリシア調査を別の科研調査と連続で行い、往復の交通費を折半するなど節約が可能となった。また、校務により本科研費研究の調査期間を短縮することとなり、調査費が嵩まなかったほか、オーストリアでの学会発表も2024年度に繰り越しとなった。2024年度は航空運賃と滞在費が円高により高騰する中、4月初旬のオーストリアでの学会発表に加えてギリシア島嶼部での調査を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Ein sinnendes Kind - Zum trauernden Gestus in archaischer Grabkunst2024

    • 著者名/発表者名
      Emiko TANAKA
    • 学会等名
      19. Oesterreichischer Archaeologietag Universitaet Innsbruck
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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