研究実績の概要 |
本研究は、林原美術館が所蔵している備前岡山藩2代藩主池田綱政の詠歌関連資料(池田綱政の家集・添削詠草・紀行文・書簡など40点ほどの新出資料)を体系付けて資料整理することにより、池田綱政の詠作活動の全容、藩内外における和歌交流圏、歌道家の和歌指導方法など、近世大名の文化面における業績や公家による和歌指導システムを明らかにすることが目的である。 本年度(令和5年度)は、備前岡山藩2代藩主池田綱政の詠歌関連資料を体系付けて資料整理するために、岡山藩池田家歴代藩主の文化活動の傾向(書写・収集・作成物のジャンルや員数など)を数値的に明らかにすること、および岡山藩池田家における2代池田綱政の詠歌の影響を受けた作品を明らかにすることを目的として、林原美術館へ6回出張を行って2代池田家歴代藩主や夫人に関連する書跡資料を中心に調査し、2代池田綱政の詠歌を書写した巻子本や、家集の書写本など、必要に応じて写真撮影して、資料データの収集を行った。 そして、資料整理およびデータ管理として、資料名のないものは命名し、データベースに書誌情報などを入力して、データベースの拡充を図った。 また、当調査研究において、新たに松平定信の詠草を発見したため、拙稿「林原美術館の松平定信詠草について:松平定信と池田治政との交流」(『國文学』108号,49-59頁,2024年3月1日)として、岡山藩5代藩主の池田治政と松平定信が文化交流を行っていたことを明らかにした。
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