研究課題/領域番号 |
22K13093
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
谷本 道昭 明治大学, 経営学部, 専任准教授 (50806974)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | バルザック / 『谷間の百合』 / 19世紀 / 出版 / 批評受容 |
研究実績の概要 |
研究の二年度目にあたる2023年度は、「研究実施計画」に記したように、研究の初年度に引き続いて資料収集と資料の読み込みを中心に行なった。資料については、一次資料については、昨年度に主なものを収集することができたので、今年度は、バルザックの創作を理解、読解し、解釈を行うために必要な研究文献・二次文献の収集につとめた。また、「1830年代の出版文化」を理解し、分析するための資料の収集を継続して行なった。 それと並行して、今年度は資料の読み込みを進め、学術論文執筆のための準備を行なった。昨年度、『谷間の百合』の読解に不可欠となる「花と文学」の主題に関係する資料を多く収集した。今年度はその資料をいかして、『谷間の百合』を「花の小説」として読解する研究を行なった。また、その際に、『谷間の百合』と分かち難い関係にある「1830年代の出版文化」を視野に収め、特に、同時代の新聞雑誌に掲載された雑誌記事や、バルザックによる著作、バルザック作品に関連する記事をあわせて読み込むことで、本研究が当初から目指す文学作品の出版文化史的読解を実現・具体化するように試みた。 今年度に実施した研究の成果は、すでに学術論文として執筆を完了しており、2024年度中の早い時期には論文を投稿した学術誌が刊行される予定となっている。 そのほか、本研究課題の研究成果を公表するために、学術書の刊行を目指して、研究と執筆を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記したように、2023年度までに実施した研究については、「研究実施計画」に沿う形で遂行することができた。日仏の図書館を中心に行なった資料調査と資料収集を通じて、研究を遂行するための資料を継続して収集することができている。 また、研究を実施していく中で、当初は十分に具体化することができていなかった研究のアプローチ方法や問題設定については、実際に作品の読解・分析作業を行う中で、具体化し、学術論文という形でその成果を形にすることができている。 研究成果・論文が2023年度中に刊行されていないことについては、「研究実績の概要」に記したように、論文の執筆を終えているものの、刊行が2024年度に予定されているためである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方法は、基本的には「研究実施計画」に記した年次計画に沿って研究を進めるということになる。2024年度からは、4年度に渡って行われる本研究の後半の期間にあたる。これまでの研究においては、「研究実施計画」に記したうちの、「作品を同時代的なコンテクストに位置付ける研究」と「作品の形式と内容に関する研究」については、ある程度まで研究を遂行し、翻訳や学術論文を執筆することで研究成果の公表を行うことができている。研究期間の後半は、これまでの研究成果を踏まえた上で、総合的な研究として「作品のプログラムそのものに関する研究」に主に取り組んでいきたい。具体的には、『谷間の百合』を中心に、それ以前と以後のバルザックの著作をコーパスとして、『谷間の百合』の構想から執筆、刊行から再版までの流れを、同時代の出版文化とバルザック自身の創作のコンテクストとの関連の中で捉える研究を実施する予定である。 研究の遂行とあわせて、引き続き研究成果の公表に力を注ぎ、研究期間中に論文の執筆をさらに進めるとともに、学術書の刊行を目指して、一層の努力をしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度末に行なった研究出張の経費精算が翌年度2024年度にまわったため。
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