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2023 年度 実施状況報告書

原始的統辞構造構築操作の削減による等位構造・付加構造の真の統一的説明の探究

研究課題

研究課題/領域番号 22K13107
研究機関関西外国語大学

研究代表者

大宗 純  関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00823204)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード検索Σ / ボックス理論 / 極小主義統辞論 / 一致現象 / 束縛現象 / 併合 / wh移動 / 等位・付加構造
研究実績の概要

2023年3月9, 11, 14, 16, 8日にTheoretical Linguistics at Keio-EMU(オンライン)にてNoam Chomskyを中心とした研究者による講演が行われた。この講演とそれと同時に公開されたChomskyの未出版論文(今後出版予定)により依拠する理論的枠組みに大きな変化が生じた。この新たな理論的枠組みはボックス理論(box theory)と呼ばれる。
このような状況の中、昨年度から引き続き等位構造・付加構造の真の統一的説明に向けて検索Σという操作に着目しながら研究を進めたが、複数の理論的問題に直面した。特に内部併合(Internal Merge)適用後の要素がその後の派生から「分離され」、位相(phase)主要部からのアクセスを除きそれ以上アクセスできなくなるという新たな派生の仕組みは私がこれまで行ってきた研究にも大きな影響を与えた。この新たな理論的枠組みは不明点が多く、さらに、Σが本枠組みでどのように機能しているのかという点について精査する必要が生じたため、今年度はその点に集中して研究を進めた。まずは本枠組みに至るまでの構造構築操作「併合」をもう一度以前の理論から見直す過程で書評を書いた(英文學研究 支部統合号 vol.XVI)。そして、日本言語学会第166回大会(2023年6月17, 18日)のワークショップと慶應言語学コロキアム(2023年9月9, 10日)での口頭発表で、新たな理論的枠組みであるボックス理論で不明な点を明らかにした上で、本枠組みでΣが一致や束縛において自然な形で機能している可能性を示した。言語現象としては、主に一致現象、wh移動現象、whの取り出し不可条件、束縛現象を説明するような発表となった。また、この研究発表の内容を発展させたものが書籍(2024年11月刊行予定)に掲載される予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

依拠する理論的枠組みに大きな変更が生じた。基本的な統辞構造の派生の仕組みを見直す必要が生じたため当初予定していたよりも進捗がやや遅れている。

今後の研究の推進方策

2023年度に入る直前にボックス理論と呼ばれる新たな理論的枠組みが提案され、極小主義理論の枠組みはますます発展を見せている。ただし、この新たな理論は不明点も多く、まずは基本的な派生の仕組みをその詳細まで明らかにすることが必要であったため、今年度はその点も含めて研究を進めた。今後、これらの研究成果は今後書籍で出版される予定である。今回明らかになった点を踏まえながら引き続き検索Σを通した等位構造・付加構造の真の統一的説明に向けて研究を進める。

次年度使用額が生じた理由

体調不良と急用によって予定していた出張を2回キャンセルしたため生じた。先日、いつも研究活動に使用しているiPadが壊れたので代替品を購入する資金の一部にする予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 書評 Simplest Merge から MERGE まで Samuel D. Epstein, Hisatsugu Kitahara, and T. Daniel Seely (eds.), A Minimalist Theory of Simplest Merge, Routledge, 2021, xiii + 150 pp.2023

    • 著者名/発表者名
      大宗 純
    • 雑誌名

      英文学研究 支部統合号

      巻: 16 ページ: 233~236

    • DOI

      10.20759/elsjregional.16.0_233

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 検索とコピー形成と一致について(ワークショップ:Copy Formation が織りなす諸現象の表出)2023

    • 著者名/発表者名
      大宗 純
    • 学会等名
      日本言語学会第166回大会
  • [学会発表] 検索Σの帰結と展望 (ワークショップ:Copy Formation が織りなす諸現象の表出)2023

    • 著者名/発表者名
      大宗 純、小町 将之
    • 学会等名
      日本言語学会第166回大会
  • [学会発表] ボックス理論と一致Σagree2023

    • 著者名/発表者名
      大宗 純
    • 学会等名
      慶應言語学コロキアム(コピー形成の最適化に基づく統辞研究の諸相)
  • [図書] 極小主義における説明理論の挑戦: 最適最小性が導くコピー演算(仮題)2024

    • 著者名/発表者名
      大宗 純
    • 総ページ数
      16
    • 出版者
      開拓社
  • [図書] 極小主義における説明理論の挑戦: 最適最小性が導くコピー演算(仮題)2024

    • 著者名/発表者名
      大宗 純、小町 将之
    • 総ページ数
      24
    • 出版者
      開拓社

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公開日: 2024-12-25  

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