研究課題/領域番号 |
22K13134
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
峪口 有香子 四国大学, 地域教育・連携センター, 講師 (10803629)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2030-03-31
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キーワード | 方言分布 / 経年変化 / 追跡調査 / 空間分析 / GIS / データベース |
研究実績の概要 |
【研究の目的】 本研究は、瀬戸内海地域の方言差と世代差に注目し、実時間上の変化の実態を解明すると同時に進行中の変化の様相を捉え、方言の動態と動向を捉えることにある。『瀬戸内海言語図巻』(以下、LAS)を対象とした、GIS(地理情報システム)によるデータベース構築を目指し、上巻・下巻ともに、総計241項目のデジタル言語地図を完成させる。言語地図をデジタル化することにより、GIS上での言語地図間の比較が容易になる。追跡調査との比較を通じて方言分布の動態を捉えるとともに経年変化を明らかにし、地域言語における言語伝播・定着過程に着目することで、新たな理論の検証と構築を目指す。 【2023年の主な研究成果】 2023年の実施内容は、大きく分けて2つである。(1)『瀬戸内海言語図巻』と追跡調査のGISによるデータベース構築として、『瀬戸内海言語図巻』上巻(音声項目18、文法項目102)は、電算化が済み、引き続き『瀬戸内海言語図巻』下巻(語彙項目121)の電算化を進め、GISファイル化を行った。また、追跡調査として、2011年から4年間、瀬戸内海域の市町村教育委員会、公民館、漁業協同組合等の協力を得、通信調査法によって送付した調査票を瀬戸内海各地の1930地点の高齢者の方々から既に返送して頂いた。すべてのデータはGIS用に整備済みである。現在は、データの少ない地域での調査を進めている段階である。 (2)言語変化の時空間分析をGISに基づいて行う。コロナ禍ということもあり、若年層を対象とした、言語通信調査を目指すために、準備を行った。Webアンケート法による調査のほか、状況により限界集落が存する島嶼部には現地へ赴き、対面による面接調査を行う予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
追跡調査として収集したデータの少ない地域には、現地に赴き面接調査を行いたいが、コロナ禍の影響でフィールドワークにいけなかったことと、研究代表者が研究中断しているため、遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
フィールドワークにいけるようになれば、面接調査を行い、引き続き、言語地図のデータベース化を進めていく。分析にあたっては、分布データを正確に扱うことのできるGISを活用し、利用のための情報交換を活性化させていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度も、予定していたフィールドワークがコロナ禍の影響で実施できなかったことと、データベース構築化作業も、コロナ禍で学生の活動が制限されており、予定していたデータベース量に満たなかった為に、アルバイト代の支出が制限された。その他として計上していた経費は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い使用することが困難だった為、翌年に繰り越し引き続きデータベース構築作業及びGISに基づいた言語変化の空間分析について研究を遂行したい。
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