研究課題/領域番号 |
22K13145
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福良 直子 大阪大学, 国際教育交流センター, 講師 (90822164)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アカデミックプレゼンテーション / 理工系研究室の留学生 / 中級未満の日本語レベル |
研究実績の概要 |
本研究は、理工系大学院に所属する日本語レベルが中級未満の留学生を対象とした、アカデミックプレゼンテーション(以下AP)の効果的な教育方法の開発を目的とするものである。特に理工系留学生は、日本語が中級未満の段階で研究活動を始める学生が多いが、日本語教育学における関連研究は少なく、効果的なAP教育の方法も確立されていない。本研究では、留学生と研究室構成員の声を反映させたAPの教育内容・方法を提示し、教材を試作し検証することを目指している。 令和4年度は、まず「理工系研究室における留学生のAP学習への関与の現状」を明らかにするために、アンケートおよびインタビュー調査を行った。具体的には、理工系研究室において、留学生への指導経験が豊富な教員に対しアンケート調査を行った上で、インタビュー調査への協力が得られた2名の教員に対して、半構造化インタビューを実施した。インタビューデータは文字化した上で分析を行った。その結果、留学生のAPは、教員による指導が多いことがわかった。APに対して、学生間のサポートが見られる研究室もある一方で、日本人学生からの働きかけが少なく、留学生同士で固まってしまう傾向があり、学生間のサポートがあまり見られないという現状も示された。また、指導においては、テーマの独創性やAPの論理性が最も重視されていることがわかった。論理性を意識せず、データを示す図を並べればよいと考える学生への初期指導の重要性や困難点も明らかになった。今後は、より対象を広げ、研究室構成員への調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の研究課題は、以下の3点である。(1)理工系研究室の留学生が抱える日本語によるAPに関する困難点を明らかにし(2)研究室におけるAP学習への関与の現状を調査した上で(3)AP教材の開発と評価を行う。当初の予定では、令和4年度に(2)の調査と分析を完了する予定であったが、教員への調査および分析に時間がかかり、教員以外の研究室構成員への調査が実施できなかった。今後は、研究室構成員への調査と並行して(1)の留学生への調査を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
教員へのアンケートおよびインタビューの調査結果をまとめ、学会誌等へ投稿する。留学生に対するインタビューにより、APに関して現在抱える困難点をその理由とともに分析する。また、研究室構成員への調査を進め、環境としての研究室にどのような関係者、ステークホルダーが存在し、いかに留学生のAP学習に関与しているかを明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケートとインタビュー調査の実施および分析に時間がかかり、令和4年度に行う予定にしていた調査を令和5年度に実施することにしたため、旅費および謝金が必要である。
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