研究課題/領域番号 |
22K13152
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
当銘 盛之 名桜大学, 国際学部, 准教授 (10881708)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 漢字圏日本語学習者 / 中日同形異義語 / 意味関連性 / 推測容易性 / 母語の影響 |
研究実績の概要 |
漢字圏日本語学習者は母語である中国語の漢字知識をすでに有しているため,日本語の漢字単語を覚える際にその知識を活用することができる。例えば「散歩」のような同形同義語は,日本語と中国語で意味が同じであるため学習は非常に容易である。しかし,「新聞」のような日本語と中国語で形態は同じであるが意味が異なる中日同形異義語については,中国語の意味がないことを認識しつつ新たに日本語の意味を覚える必要があり,認知負荷が高いとされる。また,単語は覚えるだけでは不十分であり,いかにその記憶を保持できるかが重要となる。さらに,本来漢字形態と意味との結びつきは母語である中国語のほうが強いことから,一旦日本語の意味を覚えたかに見える場合であっても,日数の経過とともに母語の干渉が強まり,日本語の意味を保持できなくなる可能性も十分に考えられる。以上を踏まえ,本研究では,漢字圏日本語学習者を対象とし,特に中日同形異義語に着目し,単語の「覚えやすさ」と「記憶の保持」にどのような要因が関わっているかを探ることを目的とする。具体的には,中日同形異義語の覚えやすさに影響を与える要因として日本語と中国語の意味関連性及び日本語漢字単語の推測容易性を取り上げ,どのような影響がみられるか検討を行う。 2022年度は中国に渡航し現地で調査を行う予定であったが,新型コロナウイルス感染症の拡大により入国ができなかったため,調査がオンラインで実施可能かどうかの検討を行うと同時に,覚えやすさに影響を与えうる様々な要因について幅広く文献にあたった。このことにより,当初の計画に比べ,より,詳細な論理構築を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大により,中国への入国が叶わず,調査を行うことができなかった。調査方法の変更(オンライン等),あるいは日本国内での調査等,日々変化する新型コロナウイルス感染症の状況に応じた検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年3月15日に中国への渡航がようやく解禁された。このことに伴い,現地での調査が実現できる可能性は非常に高くなったといえる(ただし,以前のようなビザなしでの渡航はまだ解禁されていない)。今後は日本及び中国でのコロナウイルス感染症に対する措置に注意を払いつつ,早ければ夏頃に調査を行いたいと考えている。状況次第では渡航せずにオンラインでの調査も検討する。得られた調査結果を分析し,それを基に学会発表及び論文投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に中国での調査を予定しており,渡航費として計上していたが,新型コロナウイルス感染症の拡大により入国ができなかったため,予算の執行ができていない状況となっている。可能であれば初年度の調査と次年度の調査をまとめて行うことを予定している。困難であれば,2023年度に2回渡航をして調査をする予定である。
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