研究課題/領域番号 |
22K13171
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
単 艾テイ 西南学院大学, 国際文化学部, 助教 (70833820)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 読書活動 / ブックレポート活動 / 四技能 / Show & Tell活動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①「読書活動とコミュニケーション活動の統合による中国語授業」のモデルカリキュラムの開発と教育効果の検証、並びに②新たな中国語教授法理論「読書活動を基軸とする内容言語統合型学習」の構築の二点である。 まず、前年度実施のブックレポート活動のデータを分析・考察し、同活動の読書教育に対する寄与の可能性について議論を行った。この結果は第66回日本読書学会大会にて報告した。 次に、①中国語の物語文を正しく深く読解できること、②中国語を介した物語世界の読解を通して他者理解を行うためのスキルを習得できることの二点に対する効果を明確化するため、本学上級クラスにおいて『中国 ことばの世界を旅する』(単, 2022)を用いた授業を行った。実施内容としては、①中国語短編小説における文構造と文法に着目した精読、物語内容に関する解釈・ディスカッション、②小説中の表現を導入した産出練習及び物語内容に関連したパーソナルリーディング、③「読む」「書く」「聞く」「話す」の四技能の有機的連携などが挙げられる。またその教育効果の検証を行い、第4回東アジア言語文化学会大会で報告した。 続いて、中国語Show & Tell活動の中・上級クラスへの導入を行った。学習者の産出物と質問紙回答を対象に、中国語 Show & Tell の①ナラティヴの特徴、②テクストの特徴と誤用傾向、③自己物語としての訴求力、④同活動の教育効果という4つの観点から分析を行い、その結果を『西南学院大学言語教育センター紀要』第13号上で論文報告した。 また、2022年10月から二ヶ月間、本学と中国広州大学とタンデム学習の形式で「日中マンガ交流会」を行った。これは「読書」を一つのキーワードとした日中両国の学生同士の相互交流を目的として企画されたものである。参加者は各自でお薦めのマンガをお互いに紹介し、情報交換や感想交流などを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初級に関しては、本年度中に授業内活動を実施することができなかったが、中級と上級に関しては、ほぼ当初計画通り、授業実践を進行させることができ、研究データも取得することができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策としては、引き続き申請書に提出した計画を進める予定である。上級クラスにおいては、引き続き自作教科書『中国 ことばの世界を旅する』を用いて授業を行う。 目標:①中国語の物語文を正しく深く読解ができること、②中国語で「書評」ができること、③中国語を介した物語世界の読解を通して、他者理解を行うためのスキルを身につけることができること、の三項目に対してどの程度有効であるか明らかにする。 内容:(1)中国語の短編小説[申請者の自作教科書『中国 ことばの世界を旅する』(朝日出版社2022)]における文構造と文法に着目した精読、物語内容に関する解釈・ディスカッション、(2)同小説中の表現を導入した産出練習及び物語内容に関連したパーソナルリーディング、(3)母語で読んだ書籍を題材としたブックレポート活動の実施。 また、本年度は中級クラスにおいては、中国国内で実際に出版されている旅行ガイドブック『100個地方暢游通』(王全民2017)を素材とした授業プリントを用いて進める。 目標:①中国語の説明文・論説文が読めること、②長文のテクストや談話の産出ができること、③中国語圏に対する人文地理的な視点や関心を持つこと、の三項目に対してどの程度有効であるか明らかにする。 内容:(1)旅行会話を対話形式でパターン練習、(2)説明文・論説文(中国語圏のホテル予約サイトや旅行雑誌)の論理構造や書き手の意図の理解・解釈、(3)協働学習による「中国語圏の一地域の文化紹介」のコンテンツの作成・発表。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、学会・研究会参加に関して会場参加を予定していたが一部オンライン開催となり、本年度に関しては当該旅費分の支出を行わなかったことから、次年度使用額が生じた。次年度は本年度と同様に、授業教材作成費用と研究協力者への謝金を中心に、学会参加費用も含めて使用する計画である。
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