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2022 年度 実施状況報告書

18世紀前半の露清貿易形成とヨーロッパ経由の清の情報に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K13187
研究機関京都大学

研究代表者

中村 朋美  京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 特別研究員(RPD) (10781750)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード露清貿易 / 清の情報 / 新聞 / 報知 / 情報収集 / 情報公開
研究実績の概要

本研究は、ロシア最初の印刷新聞である『報知』(1728年以降、『サンクトペテルブルク報知』)に着目し、『報知』に掲載された清に関する記事内容を把握することにより、18世紀前半のロシア社会においてヨーロッパ経由の清の情報が露清貿易の展開にどのように寄与したのか、を解明することを目的としている。
本年度は、研究実施計画に記載した手順のうち、A. 『報知』に掲載された清に関する記事の収集、B. 清に関する記事の数量の把握と内容の分類を行った。
記事の収集については、改めてロシア公共図書館(サンクトペテルブルク)と公共電子図書館の各ウェブサイトで公開されている『報知』を調査した。さらに公開されている『サンクトペテルブルク報知』の索引によって記事の存在は把握しているものの、上記図書館のウェブサイトで公開されていない記事を収集するべく、次の調査を行った。研究計画では、『報知』の所蔵機関として目星をつけていたロシア国内の図書館で現地調査を行う予定であったが、ウクライナ戦争の影響によりロシアへの渡航が困難であったため、調査を実施することはできなかった。この計画の変更に対応するため、国内外で所蔵機関がないかをオンラインで調査するとともに、ロシア史を専門とする研究者にアドヴァイスを求め、アドヴァイスを手掛かりに所在調査を進めた。またカザフスタンのアルマトゥでの現地調査の折に、現地の図書館でも所在調査を行った。しかしながら、これらの調査では未収集の記事の所在を明らかにすることは出来なかった。このため、記事の収集は一旦保留とし、すでに収集済みの記事を分類する作業を進め、暫定的に分類リストを作成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度の研究はやや遅れていると評価する。その理由は、計画していたロシアでの現地調査を実施できず、またこの研究計画の変更に対する対応策も効果的に機能しなかったことから、研究手順A、Bを完了させることができなかったためである。また、本年度が本科研費以外の科研費による研究の最終年度であったことから、そちらの研究に集中して取り組んだ結果、本科研費研究のエフォートを下げざるを得ず、Bから先の手順に着手できなかったためである。
本年度は、『報知』に掲載された清に関する記事の収集と、清に関する記事の数量の把握と内容の分類、およびロシアと西欧諸国との貿易史や露清関係史、ロシア経済史に関する先行研究の渉猟に重点をおいて研究を行った。記事の収集に関しては、オンラインで公開されている『報知』を調査することで、集めるべき記事の大半を収集することはできた。しかし、未公開の記事を収集することを目的に計画したロシア現地での資料調査を実施することができず、その代替として、国内外の機関をオンラインで調査したり、研究者にアドヴァイスを求めたり、カザフスタン現地の図書館で所在調査を行ったりしたが、一部の記事を収集することはできなかった。記事の分類に関しては、収集できた記事を分類する作業を進め、暫定的に分類リストを作成した。
このように研究手順A、Bを完了することは出来なかったが、収集した記事をもとに暫定的ながら分類リストを作成できており、次の手順に着手する準備はできている。

今後の研究の推進方策

第1に、手順C.『報知』の記事に取り上げられた出来事の特定とその詳細の把握に着手する。記事が示すトピックは複数あるが、まずそのうちの一つである、ロシア国内発の清に関する情報の公開に関する研究に取り掛かる。具体的には、当該記事を精読し、記事に取り上げられた出来事と人物を特定し、詳細をその分野の研究者や資料にあたって調査する。国内外の図書館、文書館で資料調査を行う。その後、論文を作成し、成果を取りまとめる。これにより、露清貿易形成期のロシア社会において、『報知』の情報がどのような商業的価値を持ち、露清貿易の形成にどのような影響を与えたのかを検討する。
第2に、『報知』の記事の情報源について調査する。手順Bで分類した情報のなかには記事情報の収集地があるが、その収集地が所在するヨーロッパ各国の諸図書館で当該記事の元となった新聞記事を収集し、元の情報と当該記事との比較検討を行う。
現在のウクライナ情勢を考えると、今後しばらくロシアでの現地調査は困難であると考える。このため、手順A、Bは一旦保留とする。
ウクライナ戦争が終結し、ロシア国内での調査が可能となった場合は、未公開記事を収集するため、ロシア国内の所蔵図書館で資料調査を行い、手順A、Bを完了させる。これによって得られた成果の発表を行う。同時に、ロシア帝国外交文書館、ロシア国立古文書館、ロシア国立図書館で調査を行い、ヴラジスラヴィッチの広東貿易構想に関連する資料の収集を行う。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用が生じた理由は、ウクライナ戦争の影響によりロシアへの渡航が困難であったこと、新型コロナウィルス感染症に対する対策として国内諸大学図書館の外部利用者に対する利用規制が継続していたことから、計画していた国内・国外での調査を実施することができなかったことによる。
本年度の研究計画では、ロシアのサンクトペテルブルクと北海道大学での資料調査を予定していたが、上記理由により調査を実施することができなかった。このため、再度日程調整と研究計画の変更を行い、次年度はヨーロッパ各国の諸図書館で18世紀前半の新聞に関する資料調査を行う予定であり、次年度分として請求した助成金と合わせて旅費として使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 1830年のシベリア税関区からの報告について2023

    • 著者名/発表者名
      中村朋美
    • 学会等名
      中央ユーラシア茶話会
  • [学会発表] シベリア要塞線とアジア貿易:1830年のシベリア税関区からの報告が語るもの2023

    • 著者名/発表者名
      中村朋美
    • 学会等名
      日本中央アジア学会

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公開日: 2023-12-25  

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