研究課題/領域番号 |
22K13211
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
古内 絵里子 福山大学, 人間文化学部, 講師 (00791899)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 都城 / 都市 / 泗沘城 / 百済 / 新羅 / 高句麗 |
研究実績の概要 |
本研究は、都城形態と行政の両面から中国北朝および朝鮮半島都城と日本の都城の比較を行うことにより、東アジア都城が日本の都城に与えた影響を明らかにし、日本の都城形成の再構成を試みるものである。 当該年度は、1年目にコロナ渦のために行くことができなかった朝鮮半島の都城遺跡および現地の資料調査を行った。7月に韓国の忠清南道扶余郡扶余邑に行き、泗ヒ城跡(忠清南道扶余郡)の踏査および扶余国立博物館「百済木簡」展にて泗ヒ城期の百済木簡の実見・調査を行い、百済の都城行政である五部五巷制に関する資料調査を行った。3月には、475年から63年間にわたり百済の都であった公州へ行き、地形や遺跡の調査を行った。まず、王宮跡の候補地とされる公山城へ行き、地形さらに古代山城の構造を確認した。ついで、武寧王陵など王族の墓が集まった宋山里古墳群に行き、古墳の構造と都市空間における墓地の位置を確認した。そして、公州国立博物館において、宋山里古墳群の埋葬品や公州の出土遺物の調査・実見を行った。ソウル市では、建国から公州に遷都するまでの百済の都城である漢城跡の遺跡である夢村土城、風納土城と、出土遺物を実見するため漢城百済博物館に行った。また、漢城百済博物館では韓国の水中考古学展が開催されており、百済、高麗時代の沈没船からの遺物から日本との交易ネットワークを考古遺物からも知ることができた。 今年度は、韓国で集めた資料をもとに、百済の泗ヒ城の支配構造の実態を明らかにし、百済五部五巷制が日本の都城行政に与えた影響を研究する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」に記載したように、1年目にcovid-19の感染拡大の影響により、中国と朝鮮半島の遺跡および現地の資料調査ができなかった。そのために、先に日本の都城遺跡の調査と史料の収集、検討を行った。それと同時に、本年度の海外調査の準備のために、データベースを活用して韓国の都城に関する金石文の史料収集を行い、研究をすすめた。2年目である当該年度は、それをもとに韓国の扶余、公州、ソウル市で百済都城の遺跡調査および資料調査を行った。今年度は、その成果を踏まえて、古代朝鮮半島と日本の都城行政の比較研究を行い、古代日本の都城行政の成立を究明する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、新羅王京跡(慶尚北道慶州市)の踏査と、国立慶州博物館で新羅王京の行政に関する考古資料の実見と釈文の照合を行い、昨年度の百済都城の調査成果を合わせて、日本の都城行政の成立への影響関係を明らかにする予定である。成果は論文にして投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
韓国調査で新羅の都城遺跡にも行くために計上していたが,今年度は時間の制約によって行けなかったため、次年度に行く予定である。
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