研究課題/領域番号 |
22K13221
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
中村 春菜 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (80846866)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 台湾引揚 / 台湾疎開 / 久場崎 / 学童疎開 / 教育 / 沖縄 / 地域史 / オーラルヒストリー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、戦後台湾における沖縄人の動向について、特に引揚待機時の沖縄人教育の実態を明らかにすることである。2023年度前半はコロナ禍の影響もあり、主に沖縄県内市町村史誌(読谷村史、中城村史、うるま市、南城市史)や新聞記事、援護局史等から台湾疎開・引揚、戦後教育に関する証言記述の抜き出しや収集資料整理を行った。後半は台湾引揚者に累計15回の聞き取り調査及び台湾疎開者の多かった宮古島での資料収集を行った。聞き取り調査の際は、台湾で受けた教育や科目、教員の氏名、引揚待機場所等(見取り図作成)に関して重点的に質問した。宮古島では図書館にて、学校記念誌を中心に台湾疎開・引揚体験の寄稿や座談会記録を中心に収集した。 今年度は成果発表として、①学会発表、②調査地への還元、③紀要への投稿を実施した。①に関しては、オンラインで海外の学会に参加した(武漢大学、中国海洋大学主催)。②に関しては、(1)熊本県熊本市植木北中学校での学童疎開と沖縄引揚の特別講話、(2)2022年度第1回沖縄県地域史協議会研修会での聞き取り調査と記録に関する協同発表、(3)舞鶴引揚記念館での特別講話と語り部の沖縄研修での受入とワークショップの実施を行った。③に関しては、所属する学科の紀要に沖縄引揚に関する英文資料の和訳(前半部分)ならびに解題を執筆した。 研究成果発表を通して、戦後台湾における沖縄人教育と引揚に関する新たな情報提供を受けるとともに、沖縄戦、米軍統治、戦後沖縄史、中琉関係史などの専門的視点からの意見も受け、より一層考察を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
想定通り、2023年度前半は新型コロナウイルスの影響があったため、主に沖縄県内の市町村史誌等から台湾疎開・引揚を中心に証言を収集した。アルバイト学生も2名雇ったため、4市町村22冊確認することができた。とはいえ、沖縄県内の市町村史誌は1,600冊余りあるため、取捨選択しながら研究期間内に鋭意継続して証言収集に努めたい。 聞き取り調査に関しては、市町村史誌編さん室や沖縄県内新聞社に協力を求めたり、知人から紹介を受けるなど、おおむね順調に進んでいる。聞き取り調査に関しては時間との闘いでもあるので、こちらも急いで体験者の声に耳を傾けたい。 なお、申請段階で2023年度に実施予定であった、①台湾実地・資料調査および②沖縄県内有人15離島での聞き取り調査に関して、新型コロナウイルスのため自粛した(宮古島を除く)。次年度に延期することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、まず、新型コロナウイルスの影響で2022年度に実施できなかった①台湾実地・資料調査および②沖縄県内有人15離島での聞き取り調査を実施し、研究を進める。 引き続き地域史誌や学校記念誌等からの証言収集と聞き取り調査に務め、地域への還元と学会発表、論文発表を行う。 万が一、海外渡航が再び厳しい状況になれば、現地での調査協力者に依頼し資料収集をお行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため予定していた台湾及び沖縄県内15有人離島への渡航が難しかった。そのため、全額使用がかなわなかった。2023年度に持ち越し研究を推進させるべく使用したい。
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