研究課題
若手研究
本研究では、第一に百済の地方(全羅道高敞)から出土した将軍号印の検討を進め、6世紀第一四半世紀段階の百済では、中央だけでなく、地方支配においても南朝将軍号が利用されていたことを明らかにした。第二に、百済官位制の成立過程を考察し、それが6世紀前半、それまでの百済王権内の序列を規定していた、南朝将軍号の序列、階層性をふまえて形成されたことを明らかにし、6世紀前半、百済がそれまでの中国王朝の政治的影響を脱して自立の道を進んでいったことを解明した。
朝鮮古代史
本研究の学術的意義は、5世紀後半から6世紀前半、中国王朝との政治的関係を前提として受容された中国将軍号によって百済臣僚たちの序列を規定していた百済が、6世紀前半、南朝将軍号の改編をふめて、既存の将軍号による序列や階層性にもとづきつつ、独自の官位制を創成したことを明らかにしたことで、これは既存の研究成果とは全く異なる新知見である。また、こうした百済の官位制成立は密接に関連した日本古代の身分形成を探究する上でも重要である。