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2022 年度 実施状況報告書

非破壊オンサイト分析による斑点文トンボ玉からみた古代東アジアのガラス流通の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K13242
研究機関東京電機大学

研究代表者

村串 まどか  東京電機大学, 工学部, 研究員 (20868880)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード古代ガラス / 蛍光X線分析 / トンボ玉
研究実績の概要

本研究で焦点を当てる斑点文トンボ玉は単色(主に紺色)のガラス玉に黄色や緑色、淡青色など異なる色のガラスで斑点状の装飾を施したガラス玉である。日本列島だけでなく、朝鮮半島でも出土例が報告されており、その分布状況から考古学的には朝鮮半島で生産されたものが日本列島内に伝来した可能性が指摘されている。
ガラスの化学組成は原料によって異なり、原料採取地域が異なればガラスの化学組成も異なるため、化学組成を調べることによって原料に関する情報、つまり生産地域につながる情報を得ることができる。このようなガラスの化学組成が持つ情報の有用性から、蛍光X線分析法をはじめとする様々な分析手法で化学組成情報をもとにした、ガラスの生産や流通に関する研究は広く行われている。特に蛍光X線分析法は非破壊分析が可能なタイプもあるため、本研究のような文化財を対象とする研究に広く利用されている。
斑点文トンボ玉は考古学的研究によって、日本列島および朝鮮半島での分布状況は明らかになっているが、科学的な調査については、各遺跡・古墳の発掘調査報告書に散見されるものの、体系的に進められたものはない。本研究では非破壊かつオンサイト(現地)で行える分析手法によって、トンボ玉の化学組成情報を蓄積していき、これによってトンボ玉の生産地域や流通について考察を進めていく。
現在までのところ、本研究で重要視していた対象の分析調査を実現することができた。現地に行くことで全体数や出土状況、周辺の古墳における類例の有無などの情報収集も併せて行い、研究遂行上重要なデータ・情報を得ることができた。その他にも国内で関連する出土ガラスの分析調査も実施し、比較データを得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で調査対象としていた資料のうち、最も重要視していた資料の分析調査を初年度で実施できたことによる。併せて出土状況、周辺の類例の把握も進み、研究を遂行する上で大変重要なデータと情報を得ることができた。その他に、国内の関連資料の調査も実施できたため、多くのデータが蓄積された。

今後の研究の推進方策

初年度は国内の資料を対象とした分析調査が進んだことで、データも蓄積された。今後も引き続き国内資料を対象にした調査を継続していく。一方で、本研究では国内資料だけでなく、朝鮮半島の資料も対象と考えている。今後大きな影響はないと期待しているが、新型コロナウイルスの動向を注視しつつ、現地での分析調査を検討していきたい。

次年度使用額が生じた理由

初年度では研究上、重要視していた対象資料の分析調査を実施することができたが、本研究の遂行には更なるデータ・情報の蓄積が必要である。次年度使用額よりその調査費用を捻出したい。また、初年度の調査状況を受けて、次年度ではより円滑な作業のため必要な調査用機材を拡充していきたいと考えている。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] 東海村・堀米A遺跡出土ヒスイ製大珠の蛍光X線分析および3次元計測2023

    • 著者名/発表者名
      村串まどか、山根 萌々花
    • 雑誌名

      筑波大学 先史学・考古学研究

      巻: 34 ページ: 75-85

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 城ノ山古墳出土ガラス製品の化学組成分析結果2023

    • 著者名/発表者名
      村串まどか
    • 雑誌名

      堺市博物館研究報告

      巻: 42 ページ: 75-78

  • [雑誌論文] Chemical compositions and origin of glass beads excavated from Primorye (Vladivostok) and Amur (Khabarovsk)2022

    • 著者名/発表者名
      Murakushi M., Arai S., Laptev S., Kojima Y., Nakamura K., Oguchi M., Nikitin Y. G., Artemieva N. G., German E. I., Gorshkov M. V., Nakai I.
    • 雑誌名

      MEDIEVAL ANTIQUITES OF PRIMORYE

      巻: 5 ページ: 517-611

    • 国際共著
  • [雑誌論文] X線分析から明らかになる古代ガラスの起源と流通2022

    • 著者名/発表者名
      阿部 善也, 村串 まどか
    • 雑誌名

      色材協会誌

      巻: 95(12) ページ: 370-375

    • 査読あり
  • [学会発表] 可搬型蛍光X線分析装置を用いた市立函館博物館所蔵馬場コレクションのガラス玉の化学組成分析2022

    • 著者名/発表者名
      村串 まどか,中井 泉,奥野 進,中村 和之
    • 学会等名
      文化財保存修復学会第44回大会
  • [学会発表] 東海大学・古代エジプト及び中近東コレクション「ホルス神の眼を捧持するヒヒ像」の非破壊オンサイト分光分析による材質調査2022

    • 著者名/発表者名
      阿部 善也,村串 まどか,高橋 香里,山花 京子
    • 学会等名
      文化財保存修復学会第44回大会
  • [学会発表] 国立西洋美術館所蔵2作品のオンサイト色材調査―カルロ・ドルチ≪悲しみの聖母≫と、ヤーコプ・ヨルダーンス(に帰属)≪ソドムを去るロトとその家族≫―2022

    • 著者名/発表者名
      高嶋 美穂、阿部 善也、寺島 海、村串 まどか、古山 月、谷口 陽子
    • 学会等名
      文化財保存修復学会第44回大会
  • [学会発表] 福岡県船原古墳出土馬具の鉛同位体比分析 -ガラス装飾付辻金具・雲珠を中心に-2022

    • 著者名/発表者名
      村串 まどか、齋藤 努、 西 幸子、甲斐 孝司、岩橋 由季、 加藤 和歳、小林 啓、桃﨑 祐輔
    • 学会等名
      日本文化財科学会第39回大会
  • [学会発表] 新型検出器を搭載した可搬型蛍光X線分析装置の開発と古代ガラス製品の非破壊オンサイト分析への応用2022

    • 著者名/発表者名
      阿部 善也、村串 まどか、椎野 博、永井 宏樹、中嶋 佳秀
    • 学会等名
      日本文化財科学会第39回大会
  • [学会発表] 可搬型蛍光X線分析装置を用いたモザイクガラス玉の化学組成分析2022

    • 著者名/発表者名
      村串 まどか、阿部 善也、四角 隆二、東 容子、金 度潤、李 承恩
    • 学会等名
      第58回X線分析討論会
  • [学会発表] グラフェン製入射窓を備えた新型シリコンドリフト検出器の可搬型蛍光X線分析装置への導入と文化財の非破壊オンサイト分析2022

    • 著者名/発表者名
      阿部 善也、村串 まどか、椎野 博、永井 宏樹、中嶋 佳秀
    • 学会等名
      第58回X線分析討論会

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公開日: 2023-12-25  

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