研究課題
本研究で焦点を当てる斑点文トンボ玉は単色(主に紺色)のガラス玉に黄色や緑色、淡青色など異なる色のガラスで斑点状の装飾を施したガラス玉である。日本列島だけでなく、朝鮮半島でも出土例が報告されており、その分布状況から考古学的には朝鮮半島で生産されたものが日本列島内に伝来した可能性が指摘されている。ガラスの化学組成は原料によって異なり、原料採取地域が異なればガラスの化学組成も異なるため、化学組成を調べることによって原料に関する情報、つまり生産地域につながる情報を得ることができる。このようなガラスの化学組成が持つ情報の有用性から、蛍光X線分析法をはじめとする様々な分析手法で化学組成情報をもとにした、ガラスの生産や流通に関する研究は広く行われている。特に蛍光X線分析法は非破壊分析が可能なタイプもあるため、本研究のような文化財を対象とする研究に広く利用されている。斑点文トンボ玉は考古学的研究によって、日本列島および朝鮮半島での分布状況は明らかになっているが、科学的な調査については、各遺跡・古墳の発掘調査報告書に散見されるものの、体系的に進められたものはない。本研究では非破壊かつオンサイト(現地)で行える分析手法によって、トンボ玉の化学組成情報を蓄積していき、これによってトンボ玉の生産地域や流通について考察を進めていく。現在までのところ、本研究で重要視していた対象の分析調査を実現することができた。現地に行くことで全体数や出土状況、周辺の古墳における類例の有無などの情報収集も併せて行い、研究遂行上重要なデータ・情報を得ることができた。その他にも国内で関連する出土ガラスの分析調査も実施し、比較データを得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
本研究で調査対象としていた資料のうち、最も重要視していた資料の分析調査を初年度で実施できたことによる。併せて出土状況、周辺の類例の把握も進み、研究を遂行する上で大変重要なデータと情報を得ることができた。その他に、国内の関連資料の調査も実施できたため、多くのデータが蓄積された。
初年度は国内の資料を対象とした分析調査が進んだことで、データも蓄積された。今後も引き続き国内資料を対象にした調査を継続していく。一方で、本研究では国内資料だけでなく、朝鮮半島の資料も対象と考えている。今後大きな影響はないと期待しているが、新型コロナウイルスの動向を注視しつつ、現地での分析調査を検討していきたい。
初年度では研究上、重要視していた対象資料の分析調査を実施することができたが、本研究の遂行には更なるデータ・情報の蓄積が必要である。次年度使用額よりその調査費用を捻出したい。また、初年度の調査状況を受けて、次年度ではより円滑な作業のため必要な調査用機材を拡充していきたいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (7件)
筑波大学 先史学・考古学研究
巻: 34 ページ: 75-85
堺市博物館研究報告
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MEDIEVAL ANTIQUITES OF PRIMORYE
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