研究課題/領域番号 |
22K13256
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
須崎 成二 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員(ポスト・ドクター) (30937678)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 同性愛地区 / ゲイビジネス / GIS / 東京 |
研究実績の概要 |
本研究は、東アジアの中でもっとも発達した同性愛地区をもつ日本の都市(東京・大阪)と台湾の都市(台北)を事例に、日台の同性愛地区の空間的変化に着目して、それらの共通点と相違点を解明することを目的とする。本年度は東京におけるゲイビジネス(ゲイバーなどのゲイ向け商業施設)の分布に関する時系列的なデータを収集した。その具体的な内容は以下の通りである。 (1)ゲイビジネスに関する情報が記載された1970年代後半から2000年代までのゲイ雑誌を収集した。得られた情報の分析を行い、各店舗の住所や客層の年代などの特徴を年代ごとにデータベース化した。また、住所非公開の店舗については、資料に付随した簡易的な地図から入居するビルや目印となる施設の情報をもとに『ゼンリン住宅地図』と照合し、住所を特定した。(2)大都市圏におけるゲイビジネスの分布を検討するために、(1)で作成したデータベースおよびGISツールを用いて1970年代後半の東京におけるゲイビジネスの分布を地図化した。まず、東京23区における店舗の分布をメッシュマップで示し、その後ゲイビジネスの集積が顕著であった新宿区、台東区、豊島区の当該地区の詳細な地図を作製した。 その結果、1970年代後半の東京において、ゲイビジネスは新宿二丁目周辺、上野・浅草周辺、池袋駅周辺に集積していたことがわかった。また、ゲイビジネスの顧客の年齢層は、若年層が中心でありながらも、集積地区ごとに差異が確認された。上記の成果は2023年日本地理学会春季学術大会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で当初の計画通りに現地調査が行えなかった。ただし、その分をゲイビジネスのデータベース化に費やしたため、データベース化は想定よりも進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
ゲイビジネスの分布の地図化に加えて大阪および台湾での現地調査を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
事前に計画していた現地調査を十分に行うことができなかった.その理由は以下の二つにある.第一に新型コロナウイルスの感染が収束しなかったことである.2022年は1日当たりの感染者数が以前よりも激増し,感染者が増大した時期は第6波・第7波と位置付けられた.研究対象地域に設定している新宿二丁目などは夜間のアルコール飲料が提供されるゲイバーの集積地区であり,感染の恐れを拭い去れなかった.第二に,本務校での業務に追われてしまい十分な研究時間を確保することができなかった. 次年度では,前年にできなかった分の現地調査を行う.今後もコロナ感染の拡大が生じる場合は,店舗を営業していない日中に経営者への聞き取りなどを行うことも想定している.また,2023年度から本務校が変わったが,そこでは比較的時間にゆとりが持てていることから,研究時間の捻出も十分可能であり,前年度の未使用分も含めて使用することができると考えている.
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