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2023 年度 実施状況報告書

「越境」の植民地治安体制と民族問題ー戦前台湾人活動家の取締を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 22K13275
研究機関北海道大学

研究代表者

許 仁碩  北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 助教 (50876307)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード法社会学 / 治安 / 植民地 / 東アジア / 警察 / 社会運動 / 台湾
研究実績の概要

本研究の目的は、日本植民地統治を受けた台湾人活動家はいかに当時の国境を越え、抗日活動を展開しているのか、そして戦前の日本警察はいかに越境的な取締体制を構築したのかを、歴史文献調査によって解明するものである。
前年度は、図書館、文書館に所蔵する政府文書調査を中心に、植民地時代の台湾人活動家を取締する実態を調査しました。本年度は引き続き、民間の視点から、当時の台湾人活動家の活動記録を調査した。その中で、よく知られている「新民会」、「東京台湾青年会」のほか、またいくつ活動家またはクループが存在していたことが判明した:①日本政府の弾圧を受けて台湾から満州国に渡って、戦後に台湾政界を進出する「東北グループ」(呉三連など)②文芸運動を中心に東京で成立した「台湾芸術研究会」(蘇維熊、魏正春など)③上海では「台湾共産党」(林木順、謝雪紅など)、「上海台湾青年会」(蔡惠如、許乃昌など)があり、東南部では「台湾解放運動犠牲者救援会」(蘇新など)があった④台湾で農民運動に参加した中心メンバー(李偉光)は、弾圧を避けるためにアモン、上海に移住して活動続けていた。こうした「越境」の治安体制と社会運動研究の成果を踏まえ、北海道大学「体制転換と法研究会」で「権威主義体制における台湾治安機関の海外工作」;「2023東アジア平和国際学術会議」で「東アジアのメディアと女性運動の日台連帯」;国立台湾大学「日本民族誌」で「日本の公安警察を読み取る」を発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度から、台湾への渡航が回復されたため、現地の文献調査を行うことができた。前年度に調べた戦前日本の警察文書は、台湾以外の台湾人政治・社会活動に関して、断片的な文書しか発見しなかった。本年度は戦前台湾活動家への研究論文、回想録、資料集を中心に入手し、活動側の視点から当時の「越境的行動・連帯」の軌跡を初めて把握することできた。

今後の研究の推進方策

これから政治・社会運動側の資料を引き続き収集し、越境的台湾人政治・社会運動の実態を解明していく。当時の東アジアで台湾人政治・社会運動団体の概要及び所在など情報をわかったため、さらに特定の時期、地域、団体または人物に絞って取締記録など政府文書を調べ、治安体制の対応を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

本年度は海外調査に使用された旅費は予算より節約されていたため、次年度使用額が生じた。翌年度の助成金に合わせて、より長く海外に滞在し、文献調査を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 東アジアのメディアと女性運動の日台連帯2024

    • 著者名/発表者名
      許仁碩
    • 学会等名
      2023東アジア平和国際学術会議
    • 国際学会
  • [学会発表] 権威主義体制における台湾治安機関の海外工作2023

    • 著者名/発表者名
      許仁碩
    • 学会等名
      北海道大学体制転換と法研究会

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公開日: 2024-12-25  

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