研究課題/領域番号 |
22K13290
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
加藤 雄大 東北医科薬科大学, 教養教育センター, 講師 (70802221)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 国籍 / 無国籍 / 国籍剥奪 / 市民権 / 成員資格 / 属人法 / 地位 / 国際法 |
研究実績の概要 |
本年度は、Cambridge大学Churchill Archive Centreを訪問し、同館所蔵のNoel-Baker Papers内に含まれる史料を収集した。研究実施計画との関係においては、計画当初、前年度に予定していたものであるが、感染症の世界的蔓延を理由に延期して、本年度に実行したものである。 本研究の目的は、概していえば、戦間期の国籍に関する国際条約・国際慣習・法の一般原則を明らかにすることにある。その目的との関係において、本年度に収集した史料は、戦間期にイギリス国際連盟代表を務めたPhillip Noel-Baker(1889-1982)が、第一次大戦後のおよそ10年間の国際連盟難民高等弁務官Fridtjof Nansen(1861-1930)と協働において、国籍を剥奪されたり、本国が消滅したりして無国籍となった人々の法的地位の確定を模索した記録である。その中には、諸国がそうした人々の法的地位をめぐる関連する国際会議の議事録や覚書、要人との書簡・電報が含まれる。 第一次大戦後の講和諸条約は、16世紀の宗教戦争を終結のために採用された「領主の宗教は領民の宗教」(cuius regio eius religio)の原則さながら、ネーションの境界と国家の境界を一致させることが国際平和に資すると想定していた(「民族性原理」などと呼ばれる)。他方では、戦争が惹起した敵味方の境界をめぐる緊張は、さらに国籍剥奪措置の汎化を生み出していた。こうした環境において国際的視点から模索された解決の過程は、戦間期の国籍に関する国際条約・国際慣習・法の一般原則にかかわる関連行為体の認識の動態を示すものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度は、感染症の世界的流行の影響も残り、研究計画通りとはいかなかったものの、本年度は、必要な史料収集を行うことができており、おおむね順調に推移しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画としては、収集した一次情報を相互に対照し、研究計画に予定したかたちで成果としてまとめることを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、必要な書籍の購入費が、当初の研究計画に予定した額に達しなかったためである。
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