研究課題/領域番号 |
22K13313
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
竹治 ふみ香 同志社女子大学, 現代社会学部, 助教 (10876212)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 相続 / ドイツ / 財産承継 / 相続法 |
研究実績の概要 |
本研究は、相続財産をどのように承継するかについての決定の自由がいかに保障されるべきか、検討するものである。家族関係や私的自治にいかに配慮し、これを保護すべきか、検討する必要がある。本研究では、ドイツにおいて蓄積された議論を分析し、これとの比較を通じて、わが国においてはどのような制度設計や運用のあり方が適切であるかを明らかにする。この研究を遂行するために、必要な雑誌および書籍、さらには周辺領域に関する最新の議論の動向を知るためにドイツの最新の文献や判例について、調査を行った。ドイツにおける遺留分を事前に放棄する契約の内容規制に関する議論を見てみると、ドイツにおいては、わが国と異なり、放棄契約にあたり家庭裁判所の許可は必要なく、公証人による公証がなされるのみであり、公証手続においては丁寧な配慮が必要であることが指摘されている。そこで、公証人が果たす役割についても着目しながら、研究を進めている。 本年度は、遺言の解釈にまつわる最新の裁判例について検討を行う判例評釈として、『家事法の理論・実務・判例』(2023年)に拙稿「判例解説:東京高判令和3・4・13金判1623号22頁――封筒に記載された文言と遺言の解釈」を、法学セミナーへ、婚姻と法に関する特集にあたり拙稿「離婚時に考えたいこと」法セ811号(2022年)31-43頁を、相続にまつわる最新の裁判例の解説として拙稿「民法1050条の特別の寄与および除斥期間経過の有無について判断した事例」法セ813号(2022年)120-121頁を寄稿した。 学会および研究会については、家族法についての知見を得るため、日本私法学会(2022年10月、オンライン参加)、日本家族〈社会と法〉学会(2022年11月、於 成城大学)、ドイツ家族法研究会例会(オンライン開催)に参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を遂行するために、必要な雑誌および書籍、さらには周辺領域に関する最新の議論の動向を知るためにドイツの最新の文献や判例について、調査を行っている。相続法および家族法の広い視野からの知見を得つつ、前述のように研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究を遂行する中で、ドイツにおいては、公証人によって果たされる役割の重要性が明らかになってきた。このことから、公証手続に関する議論にも着目しながら研究を進め、相続や遺贈の承認・放棄、遺産分割の場面における問題も取り上げたい。これらを通じて、相続財産の承継に関する決定の自由がいかに保障されるべきか、研究を進める方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会や研究会がオンライン開催となるなど、旅費の支出が抑えられたことによる。また、研究を遂行する中で、公証人が果たす役割についても着目する必要性を認識するに至り、これにより、計画に修正が生じたことによる。次年度使用額は、翌年度分の請求と合わせて、旅費および物品費として使用する予定である。
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