• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

私益と公益をめぐる政治思想:17世紀イギリスにおける成立と18世紀における転換

研究課題

研究課題/領域番号 22K13321
研究機関茨城大学

研究代表者

上田 悠久  茨城大学, 人文社会科学部, 講師 (70844546)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードホッブズ / ヒューム / 専制 / 宗教 / 啓蒙 / ホッブズ主義
研究実績の概要

当初の研究計画を変更して、18世紀の啓蒙思想においてホッブズ(ホッブズ主義)は単なる批判対象ではなく、むしろホッブズに対する批判が啓蒙思想を育んで来たとの仮説に基づき、検討を行った。本年度は特に、ヒュームの『イングランド史』に見られるホッブズ論について、「専制」と「宗教」そして「啓蒙」をキーワードに検討を行った。ホッブズに対する批判と解されるこの議論の裏には、ヒュームの「文明化された君主制論」や懐疑主義に基づく宗教論があり、そうした彼にとってホッブズの絶対的主権論や運動の起動因としての神概念は容認できないものであった一方で、実はヒュームがホッブズに批判する形をとりながら、実は18世紀当時の多様な議論にたいする反論を企てていたことが徐々に見えてきた。現時点の研究成果については、『政治思想と啓蒙』に所収された論文のなかに部分的に盛り込むことが出来た。ただしヒュームがホッブズについて直接的に言及した箇所は多いとは言えず、ヒュームの思想形成におけるホッブズの位置づけを実証的に示すことには限界があることも見えてきた。とはいえ、ホッブズが18世紀の啓蒙思想において大きな意義を持っていたことを具体的に描くことができたので、私益と公益をめぐる政治思想を検討する本研究課題に本格的に取り組む土台を築くことが出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロナ禍によって別の研究課題が遅れていることに伴い、本研究について本格的に取り組むことができなかった。またコロナ禍に伴い海外渡航を制限されたため、当初計画していた出張を行うことが出来なかった。それでも、ヒュームの議論について資料を集めながら検討することが出来た。

今後の研究の推進方策

研究計画が遅れているため、ホッブズとヒュームに関する課題に絞って、研究を継続したい。まず本年度はホッブズの私益と公益に関する議論について、慈善と利己主義、政治と経済の関係にも関連付けた論文を執筆する。2023年7月には研究会での報告が決定しており、また10月開催の国内学会にも応募中である。さらにヒュームのホッブズ批評については、共著のなかには部分的にしか盛り込むことができなかったので、内容を拡充したものを論文として執筆したいと考えている。なお夏に開催の国際学会に応募したものの落選したので、海外での研究については計画を練り直したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

別の研究課題についてコロナ禍に伴い研究期間の延長を行ったため、本研究課題に関して十分なエフォートを割くことが出来なかった。また海外渡航も出来なかった。次年度は、図書購入や研究出張、および論文のオープンアクセス化のために使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 政治思想と啓蒙──その光と影2023

    • 著者名/発表者名
      和田泰一、髙山裕二、石川涼子、上田悠久、隠岐理貴、隠岐-須賀 麻衣、小田英、関口佐紀
    • 総ページ数
      228
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      978-4779517297

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi