研究課題/領域番号 |
22K13328
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
須川 忠輝 三重大学, 人文学部, 講師 (90943548)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 政府間関係 / 地方自治 / EU / 国際行政 / 公共政策 |
研究実績の概要 |
本研究は、超国家的性格を有する国際機関の存在が、一国内の行政活動や中央地方関係にいかなる影響を与えるのかという関心から、欧州連合(EU)加盟国におけるEU、加盟国政府(中央政府)、地方政府の三者を中心とするマルチレヴェルの政府間関係の実態について、地方政府の行動や政策過程に焦点を当てて解明するものである。具体的には、EU加盟前後の比較が可能な中東欧諸国を対象として、EUと地方政府の相互関係や、EUが各国の中央地方関係に与える影響を分析する。 2022年度は、新型コロナウイルス感染症の流行に起因する渡航や国内外の施設利用上の制約があったため、個別の研究課題を分析するにあたっての基礎となる制度運用の仕組みの解明や先行研究の整理を進めた。具体的には、①EUの地域政策、②EU地域委員会に関する制度とその活動、③研究対象国である中東欧各国の政府間関係の3つについて、文献の収集とレビュー、データの整理を行った。このうち、③については、分析対象国の一つであるスロヴァキアの国の出先機関と政府間関係に関する論文が、査読の上、『年報政治学』に掲載された。また、チェコとスロヴァキアの基礎自治体における政策実施を分析した論文の執筆を進めており、2023年度前期中の投稿を目指している。加えて、チェコとスロヴァキアそれぞれの地方自治の歴史的変遷を分析した原稿の執筆を終えており、こちらは2023年度中に公刊予定である。 このほか、スロヴェニアの研究者との国際共同研究を実施し、国際学会報告を2件行ったほか、本研究課題と連関する博士論文の内容を加筆修正した研究報告なども行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴う海外渡航の制約、国内大学図書館の学外利用の制限などによる研究遂行上の困難に加え、代表者が2022年度より現任校に異動したことによる影響で、当該年度に計画していた個別の研究課題の分析がやや遅れている。 そのため、2023年度以降に予定していた別の個別課題に関する先行研究の整理や制度概要の分析に着手するなどの対応を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、前年度に実施できなかった海外でのフィールドワークを行い、個別の研究課題の一つであるEUが加盟国の中央地方関係に与える影響の解明を進める予定である。具体的には、研究対象となる中東欧各国にて、EU加盟前後の比較を通じて、各国の中央・地方両政府が関与する政策に対するEUの関与の実態を明らかにする。 また、2022年度に行った各国の地方自治、中央地方関係に関する分析を論文化するほか、EU加盟後の地方自治の変容について学会報告を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の世界的流行とそれに伴う渡航や国内外の図書館・関連施設利用の制約により、計画していた出張を延期したため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、2023年度に予定している海外渡航および国内出張の経費として執行する予定である。
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