研究課題/領域番号 |
22K13331
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小林 悠太 東海大学, 政治経済学部, 特任講師 (30824263)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 大臣 / 内閣 |
研究実績の概要 |
研究2年目にあたる本年は、日本政治学会で昨年度に報告した内容の前半部分を膨らませる形で、引き続き研究動向の整理に注力し、その成果を東海大学の紀要論文として公開した。海外の研究動向とは異なり、日本政治の文脈において大臣は必ずしも重要なアクターとみなされていない。閣僚の短期交代を前提とする内閣制度の運用が定着している以上、一部の閣僚を除いて重要な存在とは考えられていない。
先行研究の整理を通じて、こうした状況は幾つかの制度的組合せによって生じた帰結であるとの理解を得た。すなわち2000年代以降の制度改革は、大臣主導に貢献しうるもの(政務三役の機能的強化、総合調整権限の付与など)と、大臣の役割を低下させ得るもの(内閣規模の縮小など)が交錯した結果、一方では議院内閣制の理想に対応した過大な期待が生まれ、他方では現実の行政事務の煩雑化に起因する困難が生じているのである。
反面、他の研究課題との兼ね合いから昨年度から継続的に行っているデータ収集については、その課題を次年度以降に持ち越すことになった。例えば大臣の役割の変化は、首相・大臣間の委任責任関係だけでなく、国際的な政策動向によっても左右される。省別に異なる国際化圧力や、副大臣・政務官などに対する業務の割り振り、官邸との関係など複層的な分析が必要とされるため、複数の方法を試しながら部分的に接近し、研究計画を再修正する、ということを繰り返している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究の整理をもとに、今後の調査に道筋をつけることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、首相-大臣間の委任関係に焦点を絞り研究活動を遂行する。研究機関の再移動に伴い研究計画を若干変更し、特定の省を中心として継時的にデータ収集を行うものと、再登板経験を有する閣僚に関する史資料の収集・分析の二点を中核として、研究活動に従事する。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研費申請自体を関東着任以前に行ったため、旅費の大部分が一時的に不要となりその分を物品費へと組み替えた。しかし再び広島大学に着任することになったため、来年度以降は旅費の支出がより大きくなると考えられる。
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