研究課題/領域番号 |
22K13349
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小畑 理香 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 助教 (30850721)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高等教育 / ヨーロッパ統合 / EU研究 / ボローニャ・プロセス / 高等教育政策 |
研究実績の概要 |
本研究は、EUと欧州高等教育圏(EHEA)双方が関わる中で実現した学生モビリティに関するベンチマークの策定過程を実証的に考察することにより、並存する2つの協力枠組みの関係性を「協働」という概念で捉え直し、それがヨーロッパ・レベルにおける政策協調の進展にもたらすポジティブな働きを明らかにしようとするものである。 今年度前半は、海外での最新の研究動向についてまとめつつ、日本で入手可能なEUおよびEHEAの政策文書を用いた分析を行い、前述のベンチマーク策定過程の各段階においてEUとEHEAそれぞれが果たした役割を明らかにした。その上で、3月にヨーロッパでの現地調査を実施し、ヨーロッパの高等教育政策に関する調査研究・政策提言の経験をもつ専門家へのインタビューや現地の大学の研究者との意見交換・学術交流を行った。これらにより、ベンチマーク策定過程のうち政策文書からは不明な点について情報を得られると同時に、進めつつある考察に対する貴重な意見がもたらされた。 これらから、今年度の研究成果としては、ベンチマーク策定過程の中でもとりわけ初期の合意形成段階ではEHEAが中心的役割を果たすが、技術的議論が中心となり専門知識や統計データを必要とする段階からは主として欧州委員会を中心とするEUの役割が大きくなるという、2つの枠組みの間での役割分担を前提とした協働の実態を明らかにすることができた。 その成果については、「高等教育分野におけるEUと欧州高等教育圏(EHEA) の協働ー学生モビリティのためのベンチマークの事例から 」として、11月に日本EU学会第43回研究大会で行った口頭発表、および2023年度公表予定の論文の一部となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、新型コロナウイルスの影響がまだ残っていたため、夏に予定していた現地調査の実施は3月に延期することになったが、その分、政策文書を中心とした文献資料にもとづく分析を進めることとした。その上で状況が落ち着いた3月に現地調査が可能となったため、当初の想定とは順序は変更することとなったものの、文献調査で得た知見を現地調査で補完・確認する形で、おおむね予定どおり研究を進めることができている。 また、今年度は本研究課題の初年度ではあるが、学会での口頭発表を実施するなど研究成果の公表についても一定の実績をあげることができたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、3月に実施した現地調査で新たに得られた知見を整理し、これまでにまとめた研究成果と総合した上で分析をさらに進める。特に、これまでの研究で、政策過程の各段階でEUとEHEAが異なる役割を果たしている実態が明らかになったが、今後はそれがヨーロッパ・レベルでの政策協調の進展にとっていかなる意味をもつのかについて、文献調査と現地での聞き取り調査の両面から分析を行っていく。また、それらを踏まえた理論的説明の検討にも着手する予定である。 追加の現地調査については、研究進捗状況により2023年度末あるいは2024年度夏に実施する。2023年度中にこれまでの研究成果をまとめた論文が公表予定であるが、今後着手する理論的説明も加えた研究成果についても口頭発表もしくは論文の形で公表することを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初9月に実施予定であった海外調査が、新型コロナウイルスの影響により延期して年度末の3月実施となり、現地でのインタビュー調査のテープ起こしの依頼を2022年度内に行うことができなかったため、主としてその分の謝金のための予算により次年度使用額が生じた。この分の予算については、2023年度に執行予定である。
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