研究課題/領域番号 |
22K13358
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研究機関 | 防衛研究所 |
研究代表者 |
栗田 真広 防衛研究所, 地域研究部, 主任研究官 (60933223)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 核抑止 / パキスタン / 北朝鮮 / 中国 |
研究実績の概要 |
本研究は、核兵器保有国間の軍事的対立関係において、領土的または政治的な現状変更を企図する現状打破国がその目標追求のために取る軍事的行動に関して、複数の事例研究を通じ、一般化可能な含意を導き出すことを意図したものである。 研究初年度の令和4年度は、主として先行研究の検討に重点を置き、現時点での通説の把握と、それを踏まえた本研究自体の分析枠組み及び方法論の検討を行った。その結果、本研究と同様の問題関心を持つ先行研究の傾向として、①定性的研究では、個々の核保有国の事例、特にパキスタンを取り上げ、プロセス・トレーシングを用いた因果関係推論の形を取る研究が多いこと、②定量的研究では、Correlates of Warプロジェクトが公表しているMilitarized Interstate Disputesのデータセットを用いた多変量解析を行うものが主流であることが確認できた。 またこの過程で、事例の一つであるパキスタンの核政策に関する既存の知見をまとめ、総説論文として、オープンアクセス可能な形で公表した(“Evolution of the Nuclear Postures of India and Pakistan and their Implications for South Asian Crisis Dynamics,” Journal of the Asia-Japan Research Institute of Ritsumeikan University, vol. 4 (November 2022), pp. 55-68)。さらに、討論者として登壇した令和4年10月30日の日本国際政治学会研究大会部会13「核兵器をめぐる国際政治の現在」では、これまでの本研究実施を通じて得られた知見を基にコメントを行い、議論の中で今後の研究実施に有益な示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度から今年度中に、本研究と問題設定が重なり、かつ方法論の面で新しいアプローチを取る複数の先行研究が公表されたことから、それらを踏まえる形で、本研究の分析枠組み及び方法論のアップデートを図る必要性が生じた。結果として、初年度後半から開始する予定であった、事例研究のためのフィールドワークを先送りした。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に行った先行研究レビューを踏まえて、令和5年度は、本研究の理論的な分析枠組み及び方法論の設定をまずは完了させる。その上で、個別のケースに関する実証研究の段階へと移行することを予定している。具体的には、まずは北朝鮮及びパキスタンのケースを優先し、事例研究に必要な情報を収集するため、6月に韓国、年度後半にパキスタン及びインド、米国を訪問し、フィールドワークを実施する予定である。また、令和5年度後半には、そこまでの研究で得られた部分的な成果を基に、一本目の成果論文執筆に着手したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は、新たに公表された先行研究を踏まえた本研究の分析枠組み及び方法論のアップデートを優先したため、当初予定していた事例研究の開始を先送りした。初年度の助成金額は全て、事例研究のフィールドワーク実施のための旅費として使用することを予定していたことから、結果として400,000円分の未使用金額が生じた。これについては全額、次年度使用分として、先送りしたフィールドワークの実施に要する旅費に充てる予定である。
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