重複世代の繰り返しゲーム(以下OLGゲーム)に関して、海外の研究者とも協力しつつ研究を行った。特に、OLGゲームにおける処分可能な利得の集合に関して、完全な特徴づけを行うことができた。この集合は、多次元の多面体となり、これを計算する際に、全ての戦略を列挙する必要は無く、集合の端点を実現するような純戦略の列のみを考えればよいことが分かった。また、プレイヤーの割引因子が0に近づくか、参加期間が長くなるほど、集合が大きくなることを示せた。この成果をまとめた論文を、国際査読誌Journal of Mathematical Economicsに2024年2月に投稿した。また、前年度すでに投稿していたarXivの本研究に関するワーキングペーパーを2度改訂した。本研究に関する学会報告も英語にて行った。2023 Africa Meeting of the Econometric Societyおよび、2023 Asian Meeting of the Econometric Societyにおいてオンラインで発表を行い、海外の研究者と親交を深めた。また、東京大学本郷キャンパスにて、神取道宏先生および野田俊也先生の招待を受けて、ミクロ経済学ワークショップで発表を行い、松井彰彦先生・小島武仁先生・横手康二先生ほか、ゲーム理論分野において世界の最先端を走る方がたから助言を得ることができた。
他には、外生パラメーターが与えられたもとでの、囚人のジレンマ型OLGゲームの均衡集合の特徴づけについて、前年度に引き続き分析を行った。プレイヤーの割引因子に依存して、最適な経路がいくつかのパターンに分類できることを示した。
なお、上記の成果の多くの部分は、浦項工科大学校の金大賢助教授(https://sites.google.com/view/daehyunkim)との国際共同研究のもとで得られたものである。
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