研究課題/領域番号 |
22K13386
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
塚本 瞬 名古屋大学, 経済学研究科, 学術研究員 (60907012)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | プラットフォーム / 二面市場 / 両面市場 / 特性の異質性 |
研究実績の概要 |
2022年度は、次の2本柱で研究活動を行うこととした。第1に、2022年4月の時点で学術誌投稿に向けた推敲、研究報告などを行う段階にあった計3本の単著論文(以下「投稿準備段階の論文」と総称する)につき、研究を進めていくことである。第2に、それらの論文と並行して、新たな研究アイディアの検討を随時行い、着想が得られたものから順次取り組んでいくことである(単独研究・共同研究の双方を視野に入れるものとし、この方針で行う各研究を以下「新規研究」と総称する)。 まず、投稿準備段階の論文に関する2022年度の実績を説明する。該当する3本の単著論文のうち、複占二面市場において潜在的ユーザーの一部がプラットフォームの参加者数に関する偏った予想を形成する場合に焦点を当てた理論研究("Two-Sided Platform Competition with Biased Expectations")につき、計2回の研究報告(※)を行うとともに、各研究報告を契機として原稿の推敲(当該研究報告と直接関わらない部分の改良を含む)に取り組んだ。研究結果の適用範囲や解釈に関する部分を中心に、論文の主要部分について改善を加えることができた。学術誌への投稿には至らなかったが、投稿に向けて前進したものと考えている。他の2本の論文については、研究報告や学術誌投稿を行うことはできなかったものの、原稿の推敲は適宜進めていった。 一方で、新規研究に関しては、2022年度は、1件も始めることができなかった。
※2022年度に行った計2回の研究報告のうち1回は、日本経済学会2022年度春季大会で行ったものである。同研究報告は、本研究課題の交付内定より前に確定したものである。そのため、本報告書の「研究発表」欄には記載しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
次のとおり、投稿準備段階の論文について、ある程度の進展があったものと判断する。まず、それらの論文のうち1本につき、研究報告2回および各研究報告を契機とする推敲を行うことにより、学術誌への投稿に向けて原稿を改善することができた。さらに、他の2本についても、推敲を進めることができた。 しかしながら、本研究課題の全体的な進捗状況としては、遅れが出ているものと考えざるを得ない。具体的な問題点としては、次の2点を挙げることができる。第1に、投稿準備段階の論文について、いずれの論文も学術誌に投稿することができなかった。第2に、新規研究を1件も開始することができなかった。以上を踏まえ、進捗状況の区分は3とした。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況の改善に留意しつつ、2022年度と同様の方針で研究活動を行うこととする。すなわち、投稿準備段階の論文について研究を進めていくとともに、新規研究にも随時取り組んでいく。以下、進捗状況を改善する方法として現在考えているところを述べる。 投稿準備段階の論文に関しては、当該論文が学術誌に投稿する段階(査読を受ける段階)に達しているか否かを適宜チェックし、それを基準として次のように進めていくものとする。投稿可能と思われる論文については、速やかに投稿し、早期の掲載につなげていきたい。他方、投稿段階に達していない論文については、研究内容の向上を図るため、さらなる研究報告の機会を確保するようにする。 なお、研究報告については、研究代表者は事情により対面形式での報告が難しい状況であるため、当分の間はリモート報告を中心にしようと考えている。2020年以降しばらくの間、学会、セミナーなどの多くがオンラインで開催されていたことは周知のとおりである。現時点でも、オンラインやハイブリッドの形式で開催されるものは存在しており、(海外で開催される場合の時差を除けば)場所の制約がないことを踏まえると、報告機会を確保することは可能であるものと判断している。 新規研究に関しては、次の2つの方法により、2022年度よりも具体的な形で取り組めるように努める。まず、新たな研究の着想を得たときは、アイディアを速やかにまとめた上で、学術誌掲載までの全過程を単独で進めることができると思われる研究は単著論文として直ちに開始し、それ以外の研究については共同研究を念頭に置いて論点整理などの準備から取り掛かる。さらに、共同研究については、他の研究者が主たる著者となる場合や他の研究者との議論がきっかけとなって始まる場合もあるため、そうした機会を積極的に得るようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、次の2つの理由により、支出額が極めて少額となった。第1に、投稿準備段階の論文が3本あることを踏まえ、学会、セミナーなどでの研究報告、英文校正の依頼および学術誌への投稿・掲載に関する費用(オープンアクセス化の手数料を含む)の発生を見込んでいたが、研究の遅れにより研究報告に関する費用以外の支出がなく、かつ、その支出額も少なめとなった。第2に、各研究を進めていく際に生じるその他の諸費用(例えばリサーチアシスタントに関する費用)も想定していたが、研究の遅れや準備の不足によってそのような費用は発生しなかった。 先述したとおり、2023年度以降においても、学会、セミナーなどで研究報告を行う際の参加方法に関する部分を除き、2022年度と同様の方針で研究に取り組んでいく予定である。そのため、今後の助成金の使用計画に関しても、基本的には2022年度と同様となる。例外としては研究報告を対面で行う際に生じる対面形式固有の費用(例えば旅費交通費)が挙げられるが、進捗状況によってケースバイケースである(例えば共同研究の場合において共著者が研究協力者として対面報告を行う可能性がある)ため、当該費用に係る使用計画はそのつど検討していきたい。
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