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本研究は、企業のグローバル・バリューチェーン(GVC)参加が企業および労働者に与える影響について、企業・労働者レベルのミクロデータを用いて実証的に分析した。研究期間の前半では、GVC参加が企業の生産性に及ぼす効果に焦点を当てた分析を実施し、生産性の高い企業がGVCに参加しやすい傾向にあること、さらにGVC参加によって企業の生産性が有意に向上することを明らかにした。また、GVC参加による生産性向上効果は、時間の経過とともに拡大する傾向にあることも確認された。後半の分析では、GVC参加が労働者の賃金水準および賃金格差に与える影響を主題とし、GVC参加企業は非参加企業と比較して高い賃金を支払っていることを示した。とくに、直接的に輸出入を行う企業は、間接的にGVCに関与する企業よりも大きな賃金プレミアムを有しており、GVCへの関与の深さと労働者の報酬の間に正の関連が存在することが示された。さらに、性別、職種、業務内容といった労働者の属性別に分析を行った結果、GVC参加は一部の格差(例:性別、職種間)を縮小する方向に作用している一方で、雇用形態(正規・非正規)や業務の性質(認知的業務・身体的業務)によっては賃金格差を拡大させる傾向も確認された。以上の結果から、GVC参加は企業の生産性と労働者の賃金向上に資する正の効果をもたらすが、同時に労働市場における格差構造を複雑化させる側面も含んでいることが示された。グローバル化の進展に伴い、企業の国際展開が多様化・深化するなかで、こうした影響を多面的に把握することは、今後の経済政策および労働政策の設計において重要な意義を持つ。
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