研究課題/領域番号 |
22K13450
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
石田 満恵 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 講師 (50757375)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | サステナビリティ / アライアンス / アライアンスマネジャー / CSV / SDGs / 権限 / 経済価値 / 社会価値 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、企業のサステナビリティ戦略を目的とするアライアンスを成功へと導く、アライアンスマネジャーの役割や権限を解明する事である。複雑で多様化したサステナビリティに関する課題に対し、自社単独で対処することは困難であるため、企業がNPOや行政等の異種セクターとアライアンスを形成し、取り組むケースが多く見られるようになった。アライアンスの成功は、組織内-外の接点に位置し、組織と組織を繋ぐ対境担当者であるアライアンスマネジャーによって左右される点が、多くの先行研究において指摘されてきたが、その具体的な役割や権限については、未だ明らかとされていない。そこで本研究は、アライアンスマネジャーがどのような役割や権限を持って、サステナビリティ戦略を目的とするアライアンスを成功へと導いているのか、その解明を目指す。 本研究では、アライアンス論等をベースに理論的検討を行い、作成した「サステナビリティ戦略におけるアライアンスマネジャーの役割と権限分析フレームワーク」を用い、サステナビリティ優良企業が実施するアライアンス成功事例を比較し、アライアンスマネジャーの担う役割、所属する階層レベルや権限等に関して、類似点や相違点を抽出する事を計画している。 2022年度においては、サステナビリティ優良企業4社を訪ね、半構造化インタビューを実施した。2023年度は、インタビュー結果を整理し、先述の分析フレームワークを用いて、これらの事例の比較分析を試みる。続く2024年度には、海外ジャーナルへ論文を投稿する事を計画している。 また、本研究に関連するアライアンス発展プロセスに関する研究を、2022年度6月に学会で報告、同年度9月に論文として発行するに至った。サステナビリティ戦略を目的とするアライアンスの発展プロセスを分析した研究は、これまでにほとんどなかったことから、一定の評価を得る形となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の進捗状況は、当初の計画以上に進展していると認識している。その理由としては、「交付申請書(様式D-2-1)」に記載した、「研究スケジュール(案)」より早いペースで研究が進んでいることが挙げられる。「研究スケジュール(案)」では、2022年度後半~2023年度前半に「インタビュー準備&実施、(理論)論文投稿」としているが、2022年度中に対象企業への半構造化インタビューが完了、本研究に関連するアライアンス発展プロセスに関する研究についても、学会報告が終了し、論文も発行済である。 2023年度後半に計画している、インタビュー調査の結果分析も概ね予定通り進んでいる。今後、海外学会における研究報告、及び海外ジャーナルへの論文投稿を目指して研究を進めていく計画である。
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今後の研究の推進方策 |
先述の通り、本研究では、アライアンス論等をベースに理論的検討を行い、作成した「サステナビリティ戦略におけるアライアンスマネジャーの役割と権限分析フレームワーク」を用い、サステナビリティ優良企業が実施するアライアンス成功事例を比較分析する計画である。 サステナビリティ優良企業が実施するアライアンス成功事例のデータとしては、対象とする企業のwebsiteやサステナビリティレポート等の公開情報、そして、2022年度に行った、対象企業への半構造化インタビューの調査結果を用いる。集めたアライアンス成功事例のデータを比較分析し、アライアンスマネジャーの担う役割、所属する階層レベルや権限等に関して、類似点や相違点の抽出を試みる。 「交付申請書(様式D-2-1)」においては、2021年2月発行のSustainability Yearbook 2021に掲載された、78社の日本企業を母集団として、サステナビリティ戦略を目的としたアライアンス事例を選定する予定と記していた。しかし、当該掲載企業のサステナビリティ戦略を目的としたアライアンス情報が、websiteやサステナビリティレポート等の公開情報として十分に掲載されていない等の理由から事例選定が進まないため、本研究では、石田(2021)で対象とした4社の日本企業のサステナビリティ優良企業に半構造化インタビューを行い、公開情報等と併せてデータを収集することとした。 4社は、CSR企業ランキング総合ランキング(東洋経済新報社)に、2015年から2019年の5年間に渡って上位10%以内に連続でランクインした、サステナビリティ優良企業である。これら日本を代表するサステナビリティ優良企業のアライアンス事例を対象とし、本稿の目的とする、サステナビリティ戦略におけるアライアンスマネジャーの持つ権限や役割について、解明を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外学会での研究報告を目指し、2022年度中に海外学会に参加・聴講をする計画であった。しかし、燃油サーチャージ高騰等の影響を受け、航空券代がコロナ前の2倍以上となっていたことから、海外に渡航する予算を捻出することができなかった。従って、2022年度は国内で開催された国際シンポジウム等に参加するに留まった。その結果、旅費が当初の計画よりも少ない額に納まり、次年度使用額が生じる運びとなった。 2023年度も燃油サーチャージによるところも大きいが、8月3日~6日にBostonで開催される、the 2023 Annual Meeting of the Society for Business Ethicsに情報収集を目的として参加予定である。また、英語で執筆した論文のproof reading代、国内学会報告の出張費等に使用する計画である。
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