研究課題/領域番号 |
22K13458
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
伊藤 真一 目白大学, 経営学部, 専任講師 (40825626)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ワーク・アイデンティティ / 社会物質性アプローチ / 物質性 / 組織ディスコース |
研究実績の概要 |
2022年度はワーク・アイデンティティの先行研究をレビューし、社会物質性アプローチを用いた研究の可能性を検討した。そしてこの成果を書籍の一部として公表した。 ワーク・アイデンティティがどのように構成されたり変化したりするかについての先行研究はそれほど多くない。例えばWalsh & Gordon (2008) は「これまでの研究では,個人のワーク・アイデンティティ,つまり,仕事に関連した,専門的な,あるいは職業的な活動の遂行に関連する個人のアイデンティティの部分の創造や構成,あるいは,このアイデンティティが組織の成果に与える影響については,特に検討されていない」(Walsh & Gordon, 2008: 47) と指摘している。 このようにワーク・アイデンティティの構成に関する先行研究はそれほど多くはないが,先行研究は存在し,例えば組織のイメージ,その人物の役職とその役職に関するディスコース,職業イメージや性的役割,その職業の歴史や産業的・社会的変化といった社会的要因についての議論が展開されてきた。 このように先行研究は社会的要因がワーク・アイデンティティにいかに影響を及ぼすかを議論してきた。しかし一方で,職場に導入された技術や職場環境の物的な変化といった,技術・物質的要因がワーク・アイデンティティにどのような/どのように影響するかはほとんど検討されていない。 そこで2022年度は先行研究で検討されてきた社会的要因と技術・物的要因の双方がいかにワーク・アイデンティティに影響するかを研究するためのアプローチとして社会物質性アプローチに注目した。そして社会物質性アプローチの採用が先行研究の抱える課題をいかに乗り越えることができるかを議論した。加えて,その際の研究アジェンダについても検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の進捗は当初の予定よりもやや遅れている。その主要な要因は、複数人いるインフォーマントの状況に変化などがあったため日程の調整に時間がかかったためである。ただし、現在は日程の調整も徐々にできるようになってきており、近日中に調査をしてデータを収集する予定となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は組織の物質性と社会的な要素がいかに相互作用し,ワーク・アイデンティティにどのような影響をもたらすかについてケーススタディを行う。先行研究では、ワーク・アイデンティティの構成は社会的要素のみに注目して研究が行われてきていた。そこで本研究プロジェクトは2022年度に、社会物質性アプローチに基づくワーク・アイデンティティ研究の可能性を提案した。2023年度はケーススタディによって物質性と社会的要素の相互作用、そしてそのワーク・アイデンティティへの影響についての知見を得ることを主要な目的とする。 なお、データ収集については上記にもあるとおり、現在複数人のインフォーマントとの日程調整をしており、近日中にインタビュー調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたインタビュー調査が2023年度にずれ込んだため,次年度使用額が生じた。 2023年度はインタビュー調査を実施できるため,この金額を使用する。
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