研究課題/領域番号 |
22K13462
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
橋本 倫明 東京都市大学, 都市生活学部, 准教授 (30650460)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ダイナミック・ケイパビリティ / 取締役会 / コーポレートガバナンス / 社外取締役 / 持続的な競争優位 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、変化の激しい事業環境における企業の持続的な成長要因の解明を目指し、環境変化に適応するために既存の社内外の資源を結合、再配置する企業変革能力(ダイナミック・ケイパビリティ)に取締役会が与える影響について調査することにある。そのために、2023年度は、仮説導出プロセスの一部として、先行研究をもとに理論的な分析を行い、取締役会を含むコーポレートガバナンス体制とダイナミック・ケイパビリティがどのように企業の持続的な競争優位に影響を与えるのかについて、世界標準の経営システムと日本企業の経営システムを比較しながら明らかにした。具体的には、これまで日本企業はその国際的な競争力を高めるために世界標準の経営を徐々に取り入れてきたが、いまだにダイナミック・ケイパビリティに基づく経営が十分に実現できていないことが競争力向上の障壁となっている。さらに、日本企業の伝統的な経営システムは世界標準の経営システムとは異なるものであったことから、日本企業が世界標準と同様のダイナミック・ケイパビリティ経営を展開することは難しく、日本企業が競争力を高めていくためには独自のダイナミック・ケイパビリティ経営を探求する必要があることが示された。 また、こうした仮説導出作業に加え、仮説検証に用いるデータの選定作業を実施し、上場企業のコーポレートガバナンス報告書や有価証券報告書等から役員やガバナンス体制に関する各種データを入手することを決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は理論モデルの構築と仮説の導出に向け、ダイナミック・ケイパビリティ・フレームワークの観点からの理論的な検討を行い、一定の洞察を得た。一方で、マルチエージェントモデルを用いたシミュレーションの実施に予定よりも時間を要することがわかり、仮説の確定に至ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画よりもやや遅れているため、2024年度は、マルチエージェントモデルを用いたシミュレーションに基づく仮説・予測の導出を進めると同時に、大数調査に必要なデータ入手作業を引き続き実施する。そして、仮説の確定次第、データ分析による仮説検証作業を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
遠方での関連学会の開催がなく旅費負担が予定より少なかったこと、企業レベルのデータに関して検討を継続しており、まだ取得(購入)できていないことから2023年度未使用額が発生した。2024年度には主に企業データの購入と研究成果報告のための論文投稿・掲載関連費用として使用を予定している。
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