本研究は作業者の技能と検品精度を同時に向上させる機械学習システム構築を目的とした2年間課題である.検品対象は歯科医療に使用するドリル状器具とし次の3つのツールの開発と導入効果の測定を行う.①検品支援ツール:ラベル付けモードにおいて一定数量のサンプルに対し熟練技能者が良品または不良品のラベル付けを行う.ここで設定された基準をもとに,非熟練技能者が②検品支援ツール:訓練モードにおいて手作業による検品の訓練を行い,検品技能の向上および平準化を目指す.③ではCNNを使用した判別モデルを利用した自動検品ツールを作成する.作業者及び自動検品ツールの判別精度に目的値を設け,基準に達するまで①,②,③の作業を繰返す.特に①では単純にラベル付けをするだけでなく,判断の根拠を記録する機能を設けて②が有効に行われるよう考慮する. 最終年度である本年度は①ラベル付けツールの開発 ②検品支援ツール:訓練モードのさらなる改良と検証実験を行った. ラベル付けツールは当初予定では検品支援ツールのラベル付けモードとして開発する予定であったが,GUIは訓練モードと類似してるもののツールの目的や作業対象者が異なることから「ラベル付けツール」として独立した形に変更した.同時に訓練モードも「訓練支援ツール」と変更した.訓練支援ツールは前年度の改良版で新たに見つかった課題である不良個所の指摘機能の改良をして検証実験を行った.検証実験は前年度のほぼ倍である21人の被験者に対し,20回に渡る実験を行ったほかにアンケートを取ってさらなる改良点を模索した.最終的に前年度開発した③自動検品ツールと組合せた連携運用の実験を行い有効性を確認した.
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