研究課題/領域番号 |
22K13478
|
研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
加藤 政仁 中京大学, 経営学部, 准教授 (60755536)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | ESG経営 / ESG債 / ESGインデックス / 株式市場 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,①ESG行動は収支構造にどのような変化をもたらすか(新たな収益獲得に繋がるのか,それとも追加的なコストを発生させるか),②ESG行動は金融市場からどのように評価されているか,③ESG行動は証券アナリストや格付機関に情報生産のための追加的なインセンティブとなるかという3つの点から,ESG行動が企業価値に及ぼすメカニズムを解明することを目的とする。 2022年度は初年度であり,前半は関連文献の調査ならびに実証分析のためのデータセットの構築から取り掛かった。文献調査については,経営学系ジャーナル,ファイナンス系ジャーナル,法学系ジャーナルなど,他分野を横断的に網羅し,ESG経営の実態や効果,金融市場や証券アナリストからの評価,制度・枠組みの実態および意義についての理解に深めた。データセットに関しては,データベースやハンドコレクトを駆使して,企業・年レベルの株価データ・財務データ・非財務データにまとめ上げるに至った。 2022年度の後半は,上記の②の分析に取り掛かり,ESG債の発行は株価リターンに正の影響を及ぼしていることや,ESGインデックスへの採用(除外)は株価リターンに正の影響(負の影響)を及ぼしているを明らかにした。これらの結果は,本邦企業によるESG行動が証券市場から評価を得ていることを示唆するものであり,ESG行動が企業価値創造に繋がること示す一つの道筋といえる。これらの研究成果は,証券経済学会(中部部会)での報告やディスカッションペーパーの発行に至っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に計画していた文献調査やデータセットの構築が概ね完了したこと,一部の検証課題については既に学会報告やディスカッションペーパーの発行に至っており,学術誌への投稿に向けて順調に進んでいること
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は,2022年度検証課題をブラッシュアップし,査読付き学術誌への投稿する。また,新たな検証課題として,ESG行動が証券アナリストや格付機関のような情報生産主体にどのように評価されるかについての分析にも取り掛かり,その成果を論文にまとめることを予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
未使用額が生じた理由は,2022年度に所属先が変わったことに伴い,当初予定していた研究補助員とは別の人物を探す必要が生じ,コロナ禍も相まって適任者を見つけ出すのに苦慮した結果,人件費・謝金の殆どを使用するに至らなかったところにある。 なお,現在(2023年4月)は新たな研究補助員の確保ができているため,未使用分は2023年度以降に使用していく予定である。
|