研究課題/領域番号 |
22K13483
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
平井 直樹 立教大学, ビジネスデザイン研究科, 助教 (50848786)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アジャイル / ソフトウェア / スクラム / 心理的安全性 / ふりかえり / レトロスペクティブ |
研究実績の概要 |
本研究は、ソフトウェア開発手法の一つであるアジャイルについて、その仕組みや考え方を日本の企業組織へどのように適用することが可能なのかを明らかにすることを目的としており、2022年度は、アジャイルに関する海外を中心とした文献のレビュー、及び定量調査を行い、論文、研究ノートの投稿、学会発表、書籍の執筆(分担執筆)を行った。 アジャイルは、昨今多くの企業が重視するDXの取り組みにも必要不可欠なものであり、企業の注目度は高い。そうしたDXの土壌となるようなデジタルの世界は、変化が激しく先が見えないような状況であり、答えやその解くべき課題自体が不明確なことも多く、試行錯誤しながら、互いに協力し、知恵を出し合いながら解決していくアジャイルのような反復活動を行う仮説検証型プロセスが重要となる。 先行研究の分析から、アジャイルの仮説検証型プロセスにおいて、いかにメンバーから発言を引き出すことができるかが重要であること、さらに心理的安全性がそうした反復活動の重要な要素の一つであることが明らかとなった。本研究では、そのうえで、日本のソフトウェア開発エンジニアを対象に心理的安全性とソフトウェア開発チームの組織風土について、定量調査と分析を行った。調査、分析により、ソフトウェア開発は進捗の遅れに関わる様々なリスクを抱えており、そうしたリスクを把握することは難しく、失敗やミス、些細な疑問や懸念について、プロジェクトのチームメンバーから発言を引き出すためには、チームメンバーがリスクを恐れずに安心して発言できるような環境である心理的安全性を高めることが重要であることが確認された。アジャイルは、特に日々の朝会(デイリースクラム)やふりかえり(レトロスペクティブ)を重視しており、こうした心理的安全性を高めることで、仮説検証プロセスを効果的に進めるために必須であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に従い,2022年度は文献レビューと定量調査を行った。海外文献の調査のほか、企業のカンファレンスなどに参加し、企業の事例などの調査を進めることができた。こうした調査の結果、アジャイルを組織に適用する前提として、心理的安全性や組織風土といったものが重要であることを明らかにした。分析結果については、レビュー論文の提出、学会発表などを行った。 また、心理的安全性や組織風土の定量調査の際に、アジャイルに関する質問項目を作成した。こちらについては、よりアジャイルの特徴を抽出する質問項目の改善の必要性も確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
2年度目に当たる2023年度においては、引き続き文献レビューを行う共に、機能横断型のチーム、自己組織化といったアジャイルの特徴について、定量的、定性的な調査を進めていく。 また、海外企業の事例、国内企業の事例の整理を行い、その特徴の比較も進めていく。 1年度の定量調査の際にアジャイルに関する質問項目を作成、実施しており、その質問票をベースにアジャイルの特徴をより抽出するための改善を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査の価格が抑えらたため。また、一部購入予定の書籍が、2023年度以降の発売だったため。 次年度使用額については、2023年度のアンケート調査の拡充(サンプル数、または項目数を増やす)、及び書籍の購入を計画している。
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