研究課題/領域番号 |
22K13500
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
的場 匡亮 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (50608669)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 価値共創 / 患者経験価値 / 患者・市民参画 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、医療における医療機関と患者の価値共創プロセスや、組織体制、価値共創によってもたらされる成果について検討することである。具体的には、特に患者エンゲージメントが病院の患者経験に与える効果に着目し、医療分野、マーケティング分野での既存研究から、医療における患者エンゲージメントの構成概念を精緻化し、実証研究を通じて検証をする。この目的を達成するため、(1)患者エンゲージメントの文献レビュー、事例調査、(2)患者との価値共創の成果の調査という2つの課題を設定している。初年度となる令和4年度は(1)患者エンゲージメントに関する文献のレビューを行った。特に、患者・市民参画(Patient Public Involvement)と患者経験価値(Patient Experience:PX)について焦点を当て、文献調査を行った。 文献調査は半ばであるが、2022年10月にそこまでに得られた知見についてまとめ、「患者参加型の質改善、経営改善」と題した学会発表を行った。また、同学会での企画を通じて、世界および日本における患者経験価値調査を通じた医療の質評価について、理論的背景、最近の実施状況や得られた成果について情報収集をするとともに、当該の研究者と意見交換を行った。 ここまでの文献調査からは、患者エンゲージメントや患者・市民参画が医療機関の経営や質改善に与える影響については未だ整理がなされていないように思われたため、スコーピングレビューの実施をすることとして、準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者エンゲージメントに関連した概念として、医療政策や、医学研究・臨床試験の分野で幅広く実施されている患者市民参画(Patient Public Involvement)を研究のスコープに含めることとしたため、対象の先行研究数が大幅に増加した。一方で、患者・市民参画を取り入れることで、医療機関の経営やサービスの立案において、患者や市民のニーズや期待をより正確に把握することができるため、より適切な意思決定ができるようになることが可能となる。このため1年目で終了予定の先行文献調査を継続して実施している。
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今後の研究の推進方策 |
研究のスコープを広げたことにより先行研究の文献数が増えたが、患者エンゲージメントや患者・市民参画が医療機関の経営や質改善に与える影響については未だ整理がなされていないように思われる。そのため、スコーピングレビューの実施をする予定である。 具体的には、「患者・市民参画によって医療サービスの質はどのように向上するか?」、「医療機関の経営や質改善に関する患者・市民参画の方法はどのようなものがあるか?」といった調査項目を設定し、キーワードに基づくデータベースの文献検索、基準に基づくスクリーニングと、情報の収集、分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実施予定としていた実証研究の協力医療機関への訪問旅費を請求していたが、文献調査を拡大し、スコーピングレビューを実施したため、執行がなされなかった。スコーピングレビューの実施に伴い論文入手の費用が発生することが予想されるため、未使用額の一部ならびに本年度の旅費を充当したいと考えている。
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