研究課題/領域番号 |
22K13507
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研究機関 | 富山短期大学 |
研究代表者 |
長田 元 富山短期大学, その他部局等, 講師 (70900009)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | モーダルシフト / 輸送機関選択(価格、品質・サービス、所要日数) / 業種別の特徴 |
研究実績の概要 |
モーダルシフトは、環境負荷の軽減に加え、効率的で持続可能な物流を目指す世界的な取組みである。これまでモーダルシフトに関する研究は多数行われてきたが、荷主企業が何を要素に輸送手段を選択しているかについては、十分に解明されていない。 このため、荷主企業の輸送手段の選択要素を解明するため、2022年5月21から7月28日まで、新潟県、富山県、石川県、福井県(以下:北陸4県)に所在する企業601社にアンケート調査を実施した。回答は182社(県別:新潟県44社、富山県63社、石川県44社、福井県33社)であった。 モーダルシフトの認知は約半数となる 98 社、モーダルシフトへの取組みを実施している企業は 23 社であった。なお、ロシアによるウクライナ侵攻により物流に混乱が生じていることが予想されたため、その影響についても尋ねて約6割の企業が何らかの影響を受けていることが明らかになった。 本研究における成果の意義は、上場企業や大企業にとどまらずこれまで十分に解明されていなかった企業の輸送手段の選択要素を具体的に明らかにできたことである。北陸4県では企業の輸送手段の選択要素において最も重視されているものは価格であり、その次に品質・サービス、その次に所要日数が続いたが、品質・サービスと所要日数は同程度であった。また、業種別に特徴を解明した点も重要である。業種別には、木材・木製品製造業や繊維工業等は価格を、医薬品製造業や化学工業はサービスを、金属製品、電気機械器具製造業・電子部品等製造業は所要日数を重視していたことが明らかになった。 また、モーダルシフト推進に向けた課題も明らかになった。モーダルシフトそのものや補助金制度の周知、運送会社、荷主や消費者や様々な主体が協力して対応すること等である複数企業をつなげる体制作り、業種や企業の事情を踏まえた働きかけが重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1年目となる2022年度は、当初計画の通り輸送手段の選択要素の解明に取組み、第一に価格、その次に品質・サービス、その次に所要日数に加え、業種別の特徴を解明することができた。アンケート調査において郵送及びインターネットによる回答を併用したこと等により予想より早い時期に研究成果を論文執筆にまとめることができた。 こうした成果を得て、当初2年目に予定していたモーダルシフトの問題点及び先進的な事例とその特徴を明らかにすべく、2022年10月にアンケート調査から明らかになった先進的なモーダルシフトを行っている企業へのヒアリングを実施した。また、解明された選択要素のさらなる分析や先進的な事例収集に着手した。こうした事例収集の成果及び今後研究を推進する観点から、2023年2月に学会発表を行い知見を深めた。 上記の通り、2022年の計画を達成のうえ2023年度に実施する研究に既に着手していることから、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」に記載したアンケート調査では企業の輸送手段の選択要素に関連して、今後別途研究を深めるべき2つのテーマが明らかになった。ひとつはモーダルシフトを推進している企業の取組み及び課題である。もうひとつは企業の港湾・空港選択である。 これらは本研究の目的を達成するため、また研究を実施していくうえで明らかにすべきテーマであることから引続き研究を推進していく。
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