研究課題/領域番号 |
22K13513
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
庄司 豊 琉球大学, 国際地域創造学部, 講師 (90910381)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | アンラーニング / マネジメントコントロール / 組織学習論 |
研究実績の概要 |
本年度は,組織アンラーニングに関する概念整理および,組織アンラーニングとマネジメントコントロールの関係に関する既存の文献研究を主に実施した。組織アンラーニングに関する概念整理の結果,組織アンラーニングの概念自体に揺れがあることを明確化し,そのうえでマネジメントコントロール研究に適用する際に,再学習(リラーニング)の部分を含まない方が適切であると思われるなど,どのような概念定義を採用すべきかについて議論が進んだ。 その後,マネジメントコントロールに関する既存研究について組織アンラーニングの観点から整理した。まず,組織学習論との関連があるインタラクティブコントロールやイネーブリングコントロール概念に関する概念的な既存研究を整理し,これらのコントロール概念もアンラーニングのプロセスを含むことを示した一方,従来の組織学習論の枠組みでは示すことのできない内容をアンラーニング概念を用いて示すことができるかという課題が新たに発見された。 さらに,マネジメントコントロールに関する事例研究についても同様に組織アンラーニングの観点から整理し,実際に実施されているマネジメントコントロールの仕組みにおいても組織アンラーニングの実践が意識されている場合があることを示した。 これらの検討によって,本研究課題と既存のマネジメントコントロール研究の関係性について,概念の側面と実態の側面から関係があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
組織アンラーニング自体をマネジメントコントロール研究に適用した研究が少なく,既存のマネジメントコントロール研究との関係性が明確ではないという指摘を受けることが多かったため,本年度は既存の概念研究や事例研究の整理によりマネジメントコントロールと組織アンラーニングの関係性を示すことによって,既存研究との関連性を明確に示すことに注力した。その結果,シミュレーションによる分析が本来の想定より進捗していない状況となっている。次年度以降シミュレーションを用いた分析に注力していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今度の研究の推進方策として,まず,既存研究との関連性を意識しつつ,具体的なマネジメントコントロールの手法がどのように組織アンラーニングのプロセスを含むかをモデル化していき,マネジメントコントロールの機能の一部として組織アンラーニングが含まれる場合,そのような形で含まれるのかを検討していく必要がある。その後,組織アンラーニングの機能の仕方によって組織の業績や行動にどのような影響があるのかをシミュレーション分析によって調査していく方針である。 特に次年度はモデル化を進めるにあたってコンピュータシミュレーションと相性の良い推論手法としてのアブダクションを用い,モデルの妥当性を検証していくことが有効になるため,想定される結果を生み出すための組織アンラーニングの構造の実装方法を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗が少し遅れており,国際学会などでの報告が進んでいないため,特に旅費,その他部分について,次年度使用額が生じている。今後,研究が進むにつれ,学会報告旅費や英文校正費として使用する予定である。 物品費については,研究用書籍やコンピュータ関連の物品が必要になるたびに順次使用する予定である。
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