研究課題/領域番号 |
22K13521
|
研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
水野 真実 熊本学園大学, 商学部, 講師 (30879929)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 管理会計 / 病院原価計算 / バランスト・スコアカード |
研究実績の概要 |
本研究では、管理会計の個別技法を研究するだけではなく、原価計算とバランスト・スコアカードの連携や、管理会計システムの導入による医療従事者らへの影響を明らかにするため、特定のリサーチサイトを対象に、原価計算の開発からバランスト・スコアカードの導入という一連の過程と、医療従事者への影響を含めた相互作用の事例検証を進めている。 令和4年度は、既存の病院原価計算モデルのさらなる活用を検討し、患者別収益性管理だけではなく、医療従事者への影響を考察するため、医師別の業務管理にも適用し、有効であることが確認できた。ただし、医師のインタビュー調査から、どの疾患(状態)の患者を医師が受け持つか、執刀医がベテラン医師か若手医師かによって、医療の安全性や指導的側面から、麻酔時間が長くなることも考えられるため、患者属性の影響や医師の立場を加味した業務評価が必要になることも確認できた。 また、分析データの課題として、既存のデータはリサーチサイトの都合で、対象期間が3ヶ月であったため、分析データを確保するのため、新たなデータをリサーチサイトから入手し、データ整理を進めた。同時に、病院原価計算とバランスト・スコアカードの先行研究の調査を進めており、関連性を調査している。 今後の予定として、入手したデータを活用し、時間主導型活動基準原価計算を適用して、人工膝関節置換術を対象とした手術室人件費の算定を進め、さらに対象疾患を広げて原価計モデルの有効性を検証する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リサーチサイトからのデータを入手することができたため、おおむね計画に沿って研究が進んでいる。さらに、バランスト・スコアカードに関する資料もリサーチサイトより入手することができたため、同時に調査分析を進めることができている。
|
今後の研究の推進方策 |
病院原価計算に関しては、リサーチサイトより入手したデータを整理し分析を進める。分析方法はSPSSを用いて、患者別収益性や医師別収益性など、病院原価計算が与える医療従事者への影響を含めた相互作用を調査する。 バランスト・スコアカードに関しては、定期的にリサーチサイトから資料を入手しつつ、医療従事者へのインタビュー調査などを進め、管理会計が及ぼす影響を調査する。これらの分析結果は学会報告や論文として公表していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度は学会の開催方法が、新型コロナウイルス感染症への対応として、対面ではなくオンラインで開催されたこともあり、旅費に関する支出をおさえ、その分使用額が少なくなった。そのため、参考図書や雑誌購入等の情報収集に関する予算に充当することとする。
|