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2023 年度 実施状況報告書

沖縄・石垣島の環境運動史:環境紛争とNIMBY問題をめぐる社会的公正に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K13523
研究機関福島大学

研究代表者

廣本 由香  福島大学, 行政政策学類, 准教授 (90873323)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード八重山・石垣島 / 地域開発 / シマおこし / 運動史
研究実績の概要

2023年度は、沖縄県石垣市出身の社会運動家であり、ルポライターである故・金城朝夫(以下、金城)がかかわった「シマおこし」から、八重山・石垣島の運動史と運動文化を検討した。沖縄では地域や共同体を「シマ」と呼び、内発的で自立(自律)的な振興のことを「シマおこし」といった。「シマおこし」は地域づくりと同様に、地域社会を弱体化させている何らかの問題や課題から発するものであり、困難の克服によって地域の持続可能性を実現させる社会運動的な側面がある。八重山・石垣島の「シマおこし」の原点にあるのは、沖縄施政権返還前後に雪崩れ込んだ本土企業の地域開発(土地の買占め)に対し、一部の青年らを中心に奮闘した農振問題の展開と農業委員会を巻き込んだ土地買戻し運動である。金城も「農振問題を考える若者の会」の代表や「石垣島を守る市民連絡会議」の世話人として、本土企業が買占めた土地の農用地指定運動、つまり農振をかぶせる運動に取り組んだ。その「シマおこし」が1970年代末以降は日本地域開発センターと沖縄協会を主催とする沖縄シマおこし研究交流会議へと発展した。こうした1970年代から1980年代にかけて石垣島を起点に広がりを見せた「シマおこし」に関する文献資料の分析から、「シマおこし」の展開過程に見える「守る」運動と「創る」運動の対抗性と、金城のいう「横の連帯」について論じた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

八重山・石垣島の社会運動や実践に関わってきた関係者へのヒアリング調査と文献資料の収集は順調に進んでいるが、収集したデータの整理・分析が若干遅れている状況である。

今後の研究の推進方策

2024年度も八重山・石垣島の運動史と運動文化について検討を進める。金城が関わった運動や実践は、時期が重なるものもあるが、大きく4つに区分することができる。第1期は、学生時代に経験した60年安保と平和憲法下の日本への復帰を求めた祖国復帰運動、本土在住沖縄出身の学生と労働者によって復帰直前に組織された沖縄青年同盟の運動である。第2期は、復帰前後の本土企業による土地買占め問題に端を発した「シマおこし」運動と、その「シマおこし」をテーマに展開した沖縄シマおこし研究交流会議である。第3期は、1979年から問題が表面化し、地元に混乱を引き起こし、開港までに30年以上の歳月を要した新石垣空港建設問題である。第4期は、1994年から開始された世界島嶼ジャーナリスト会議(笹川財団の太平洋島しょ国メディア関係者招へい事業)と「やしの実大学公開講座」である。2024年度は、第1期にあたる八重山の祖国復帰運動と沖縄青年同盟に関する文献資料の分析と関係者へのヒアリング調査から、八重山・石垣島の運動史と運動文化について検討を深めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

2023年度は、当初の計画よりもフィールド調査を進めることができたため、次年度以降に使用する予定だった旅費を前倒しで使用し、年度末にフィールド調査をおこなった。
2024年度も、フィールド調査を実施し、現地でデータの収集を進める計画を立てているため、予算は旅費の使用が多くを占める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 八重山・石垣島の運動文化――1970年代から1980年代に展開した「シマおこし」を事例に2023

    • 著者名/発表者名
      廣本由香
    • 学会等名
      第96回日本社会学会大会自由報告
  • [図書] パインと移民:沖縄・石垣島のパイナップルをめぐる「植民地化」と「土着化」のモノグラフ2024

    • 著者名/発表者名
      廣本由香
    • 総ページ数
      360
    • 出版者
      新泉社

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公開日: 2024-12-25  

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