研究課題/領域番号 |
22K13528
|
研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
塚常 健太 岡山理科大学, 経営学部, 講師 (40756483)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 都道府県魅力度 / 地域満足度 / 旅行経験 / 経県値 / 準拠集団 |
研究実績の概要 |
2022年度は科研費を使用せず、それ以前(2020年度末)に当時の所属大学の研究費で実施した都道府県魅力度に関するプレ調査(インターネット調査)のデータ分析を実施し、試作した質問項目の基礎的な回答傾向を確認した。この知見をもとに2023年度は科研費による1回目の本調査を実施する予定である。プレ調査の結果では、そもそも調査費用と画面設計の都合上、一度に大量の回答や評価を調査対象者に求めていたため、サティスファイサー(内容を精査せず手抜き回答を行う回答者)を多数発生させてしまっていた。項目によっては、半数程度に及ぶなどの結果となっていた。この結果を反省材料とし、本調査では大幅な改善が必要と判断される。 一方で、サティスファイサーを除外した基礎集計レベルの分析では、一定の知見が得られた。例えば、最高魅力度を持つ都道府県として他県在住者から選択される回数を県別に集計すると、その傾向は自身の都道府県の魅力についての評価(県別の自己評価平均値)の高低と比較的類似したものとなっていた。また、経県値総合点を県別に計算すると、都市部の地域で比較的高く、地形的に海や山脈で他県と隔てられた地域で低い傾向にあった。 上記のプレ調査のデータの分析結果(サティスファイサーの発生に関する結果も含む)については、「都道府県魅力度評価と経県値に関する基礎分析 」というタイトルで、2022年8月28日、第73回数理社会学会大会にてオンラインでのポスター発表を行った。その際に来場者からいただいたコメントとして、一元化した回答で評価を行う仕組みが関東地方の都県間の序列意識を前提としているように捉えられるが、近畿地方の府県では関東ほどの明確な序列がないのではないかという指摘や、プレ調査の段階では全47都道府県ではなく特定の地方に限定して細かく分析した方が良かったのではないかといった指摘をいただいた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究が予定通りに進んでいない端的な理由は、所属大学・分野の変更により当初の想定以上に授業資料の準備等に大幅なエフォートを割いたことと、都道府県魅力度以外の研究テーマの推進にも時間を費やさざるをえなかったことにより、一テーマ当たりの進捗が少なくなったことによる。 しかしながら、科研費をいただく以前のプレ調査のデータを分析したことにより、新規の調査を実施するために重要な知見を得ることができた。また、科研費以外の案件でも地域の魅力に関する研究に携わっている関係で、研究に資する先行研究の文献を一定程度集めることができた。これらの成果や資料をもとに本調査を行う考えである。
|
今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で述べたプレ調査の分析結果と学会発表でいただいた指摘を踏まえ、回答者への負担削減を行うこと、回答者割り当てとして一都道府県あたりのサンプルサイズを増やす代わりに調査対象地域を限定した調査を行うことの必要性が明確となった。今後の予定として、47都道府県全てを含めた検証は第2回の本調査で再度行うことし、今年度に第1回で行う本調査は関東地方・近畿地方・その他代表的な地域(北海道、沖縄県など)に調査対象者や評価対象となる地域を限定した内容で計画すべきと考えている。既に質問項目はプレ調査の段階で一通り作成しているので、それらの選択肢の見直し等は行いつつも、実施にかかる手続きを多少短縮できる見込みである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
既に述べた通り、エフォートを想定以上に他の分野に割くことになったことと、既存のデータの分析に時間を費やしたことにより2022年度内は費用の支出がなかったので、その分の費用を持ち越して2023年度にインターネット調査を実施する予定である。
|