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2023 年度 実施状況報告書

大規模社会調査データを活用した若年無業者の自殺に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K13535
研究機関桃山学院大学

研究代表者

平野 孝典  桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (70803691)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード社会病理・逸脱 / 自殺 / 無職 / 公的統計 / ウェブ調査
研究実績の概要

コロナ禍の自殺動向の特徴を把握するために、「人口動態職業・産業別統計」(厚生労働省)を活用し、自殺死亡率の変化をもたらした要因を寄与度分解によって検討した。分析時期は2015年と2020年である。また、分析対象はコロナ禍における自殺死亡率の上昇が大きかった若年層(25-34歳)に限定した。職業は就業者・無職・不詳の3カテゴリーを用いた。分析結果は以下の通りである。
まず、男性では自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数)は微減した(28.1→27.1)。職業別にみると、就業者と無職者の自殺死亡率は上昇し、不詳の自殺死亡率は低下していた。職業構成比をみると、2015年から2020年にかけて、不詳の比率が高まり、就業者と無職者の比率が低下していた。寄与度分解の結果、就業者の自殺死亡率上昇は男性全体の自殺死亡率上昇をもたらしていたが、無職者比率の低下や不詳の自殺死亡率低下の寄与の方が大きく、結果として男性の自殺死亡率は低下していたことがわかった。
次に、女性では自殺死亡率は上昇した(9.9→12.9)。職業別にみると、男性と同じく、就業者と無職者の自殺死亡率は上昇し、不詳の自殺死亡率は低下していた。職業構成比をみると、2015年から2020年にかけて、不詳の比率が高まり、無職者の比率が低下していたが、就業者の比率には変化がなかった。寄与度分解の結果、就業者・無職者の自殺動向は女性全体の自殺死亡率上昇に寄与していたが、無職者よりも、就業者の自殺動向(自殺死亡率の上昇)の方が、寄与が大きいことがわかった。不詳の寄与度は相対的に小さかった。
コロナ禍における若年女性の自殺動向には大きな注目が集まったが、寄与度分解の結果をふまえると、女性就業者の自殺動向こそ、若年女性の自殺死亡率上昇にもっとも大きく寄与したものであるといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

公的統計を用いたコロナ禍の自殺動向の職業別分析は順調に進捗しているものの、ウェブ調査の準備がやや遅れている。3年目の研究計画に支障をきたすほどの遅れではないため、「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

第1に、公的統計を用いたコロナ禍の自殺動向の職業別分析を完了し、学会誌に投稿する。第2に、今年度末までに大規模ウェブ調査を実施する。

次年度使用額が生じた理由

2年目に実施予定だった大規模ウェブ調査を3年目に延長したため、次年度使用額が生じた。

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公開日: 2024-12-25  

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