研究課題/領域番号 |
22K13536
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
稲見 直子 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 講師 (90846114)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 多世代共生 / 居住コミュニティ / コレクティブハウジング / NPO |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「コレクティブハウジング(以下、コレクティブ)」を題材に、公共的アクターがいかにして多世代共生型居住コミュニティを構築しているのかを明らかにし、居住を通じた多世代共生・共助の可能性を実証的・理論的に提示することである。 2022年度は、コレクティブを事業化するNPOスタッフやコレクティブ居住者にインタビュー調査を実施し、日本社会における居住の問題・課題を整理する予定だった。しかし、2022年8月まで新型コロナウイルスの影響により、調査対象地でのフィールドワークができなかった。そのため、オンラインで定例会に参加し調査を実施した。9月から調査を再開したが、約2年半もの間フィールドワークが実施できなかったため、調査はその間のコレクティブの状況を把握することが中心となってしまった。 オンラインでの定例会の調査では、コロナ禍においてコレクティブではどのような課題が発生し、それを話し合いによってどのように解決していったのかを調べた。9月からのフィールドワーク再開後は、インタビュー調査も交えながら、上記の点についてより詳細なデータを収集した。その結果、コロナ禍においてコレクティブの活動の大半ができず、居住者同士のコミュニケーションも図れなかったため、居住者同士のコンフリクトや居住者の孤立を生み出しやすい状況に陥っていたことが明らかとなった。 フィールドワーク再開までは、2017年度にスウェーデンで行った調査データをもとに、スウェーデンのコレクティブが長きにわたって持続している要因を生活条件という視点から考察し、論文を執筆した。これは、本研究3年度目以降の調査に向けた予備的考察となる。 今後は、研究の遅れを取り戻していくため、NPOの設立経緯やNPOの組織体制、活動内容を中心に調査を実施し、どのようにして持続可能な居住コミュニティをサポートしているのかを明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」でも述べた通り、新型コロナウイルスの影響により、8月まで調査対象地でのフィールドワークができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、調査対象地でのフィールドワークが可能になったため、初年度に予定していた研究計画も含めて進めていきたい。具体的には以下の通りである。 2023年度は、コレクティブを事業化するNPOスタッフや居住者にインタビュー調査を実施し、日本社会における居住の問題・課題を整理する。特にNPOについては、コレクティブを推進するようになった経緯や事業化の体制づくりに焦点を当てて調査を行う。2024年度は、日本での調査を踏まえ、スウェーデンのコレクティブ事業について調査を行い組織体制等を明らかにする。2025年度はスウェーデンのコレクティブでの調査を実施し、2022年度に執筆した論文をさらに深化させる。最終年度は、それまでの研究を踏まえ、コレクティブを題材に、日本社会における多世代共生型居住コミュニティの可能性と意義を考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、予定していた現地での調査が2022年8月まで実施できなかったため、次年度使用額が発生した。 次年度は、初年度の調査も含め、東京都内にあるNPOスタッフへのインタビュー調査および東京都郊外にあるコレクティブでのフィールドワークを中心に研究を進める。そのため、研究費の主な使途としてはその旅費およびインタビューデータの文字おこしとなる。
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