今日、私たちの生きる「社会」は、気候変動、各種災害に加え、そうした衝撃に対する脆弱性にもつながるインフラの老朽化等、広い意味でのエコロジー的な危機に瀕している。私たちは、いわば、これまで前提としてきた条件が壊れかけた世界を生きているといえる。この状況下で、どのように生存の基盤を存続させるのかを考えるためには、人間だけではなく、人間以外の多様な要素(e.g., 人工物、動植物)との関係も射程に入れた形で「社会」の作り方そのものを再考する必要がある。本研究の学術的および社会的な意義は、レジリエンスという概念を軸にしながら、まさにこうした新たな「社会」を構築するための視点と方向性を示した点にある。
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