研究課題/領域番号 |
22K13555
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研究機関 | 大阪芸術大学短期大学部 |
研究代表者 |
松尾 理也 大阪芸術大学短期大学部, その他部局, 教授 (80804799)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メディア史 / 占領史 / 新聞史 / 新興新聞 / 関西ジャーナリズム |
研究実績の概要 |
基礎的な資料の収集に重点を置き、大阪・関西における占領期新興紙の全体的な布置の把握に努めた。この点で、『大阪芸術大学短期大学部紀要』に掲載下「占領期大阪の新興紙」は、その全体像を整理・検討したものである。 同論文では先行研究の整理、占領期を通しての新興紙をめぐる事象の推移、占領期メディア研究の現状、さらに現代において占領期新聞を研究することの意義について検討した。 その中で個別の課題として研究を深めたものに、産経新聞の創業者である前田久吉の事跡についてがある。前田は、大阪に於ける戦時下の新聞統合の立役者であり、戦後占領期には、戦前から引き続いての『大阪新聞』『産業経済新聞』のほか、復刊型の新興紙として『大阪時事新報』『大阪日日新聞』、さらにはまっさらからの新興紙として『國際新聞』など多様な媒体を擁して関西の新聞界の中心人物として活躍した。前田が占領期にどのような構想を秘めていたのかを明らかにすることは、占領期大阪の新聞界についての理解に必須である。 そうした視点から、2022年6月から11月にかけ、産経新聞大阪夕刊及び東京朝刊に全62回にわたり連載「メディアの革命児 前田久吉」を執筆した。 また、これに関連して、『京都メディア史研究年報』に研究ノート「メディア史としての新聞社史の課題と可能性」を発表した。 同連載は反響を呼び、その結果、2023年2月に産経新聞社が主催した「目覚めの会」にての講演に結びついた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集は順調に進展している。
本研究の中間報告としての性格を持つ『大阪芸術大学短期大学部紀要』『京都メディア史研究年報』での論文掲載にみられるように、研究作業はおおむね順調に進展している。
くわえて、産経新聞への連載は、全体的な視点に加え、個別具体的な視点からの掘り下げという点で研究に厚みを加えるものとなった。同連載については佐藤卓己「メディア成立史 研究に一夕」(『産経新聞』大阪夕刊2022年11月12日付夕刊一面掲載)の論考に示されているように、一定の評価を得た。
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今後の研究の推進方策 |
産経新聞連載「メディアの革命児 前田久吉」については、創元社から単行本としての刊行が決まり、現在執筆・改稿中である。刊行は2023年11月を予定している。
学会発表として、2023年6月24日に奈良県立大で開催される日本メディア学会にて、上記連載に関連したテーマとして「メディア史としての社史の可能性」ワークショップを開催(問題提起者)する予定である。
また、占領期大阪全体についての論文の執筆、それを発展させたかたちの書籍刊行をめざし、各種作業を進めている。
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