近年、介護をしながら就労する就労介護者が増加しており、介護者の就労継続に有効な介護サービスの展開や企業等による制度拡充が求められている。そこで本研究は、Time use surveyを用いた行動解析により就労介護者の生活実態を定量的解明し、就労介護者の負担を軽減する緩衝要因を同定することで、就労と介護の両立をサポートする介護支援に向けた知見の蓄積と支援モデルの提案を目指すことを目的とする。具体的に、就労介護者支援の基盤となる知見蓄積に向け、日本の生活時間統計である社会生活基本調査により取得された時間帯別(15分単位)の行動データを解析し、就労介護者の介護、就労、家事、余暇時間などの生活実態を定量的に明らかにする。 2023年度は、統計法による基幹統計調査である社会生活基本調査により取得された時間帯別の生活行動データのシークエンス解析に取り組んだ。結果、15分単位の行動データをシークエンス化し、就労介護者の介護、就労、家事、余暇時間などの生活実態パターンの階層クラスタリングを検出することに成功した。また、前年度に引き続き文献調査を行い、各国のTime use surveyの研究成果、解析手法、介護者支援の現状などに関する網羅的文献レビューを行い、Time use surveyや就労介護者支援に関する国際研究動向や知見を整理した。今後、解析したデータを取りまとめ、論文投稿を行っていくとともに、就労介護者の生活実態に合った支援モデルの提案を目指す。
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