研究課題/領域番号 |
22K13599
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
岡田 玄也 県立広島大学, 地域創生学部, 助教 (40778768)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢解析 / 食事調査法 / 食関連QOL / 季節変動 |
研究実績の概要 |
腸内細菌叢は腸管内に生息する共生生物であり、宿主の内外から影響を受けてその菌叢構成が変動する。また腸内細菌叢は、菌自身が持つリポ多糖や発酵・代謝により産生する短鎖脂肪酸等を介し、宿主の健康維持や肥満・炎症性疾患・免疫疾患等の発症にまで作用する。このことから腸内細菌叢は、疾患の予防・診断・治療の分野において極めて重要な研究対象となっている。 研究代表者はこれまでに疫学的手法を用いて、腸内環境(腸内細菌叢や代謝産物)が食事因子(食品・栄養素・食事パターン)と関連することを報告しているが、介入研究での結果と比較して、疫学研究での食事因子が腸内環境に与える影響は非常に小さいことが知られている。この現象の一要因として、研究代表者は疫学研究で用いられる食事調査法が関与している可能性を考察している。疫学研究では様々な食事調査法を用いて食事摂取量を推定するが、用いられる食事調査法により推定される栄養量や食事量は異なることから、食事調査方により食事因子が腸内細菌叢に与える影響にばらつきが生じる可能性がある。また腸内環境を評価するために必要な糞便サンプルの採取時期と食事調査法の実施時期によっても、食事因子が腸内環境に与える影響にばらつきが生じる可能性がある。 本研究では、疫学的手法を用いた腸内細菌叢解析における最適な食事調査手法(食事調査法・調査時期)の確立に向けて、複数の食事調査法に基づく食事摂取量の推定と腸内細菌叢解析を通年(各季節に1回ずつ)で実施する。また、調査項目として食品や栄養素の摂取量を評価する他に、食事人数や食事時間などの食環境や食に関連するQOLを評価項目として用いることで、食事因子が腸内細菌叢に与える影響を多角的に評価する。本研究により、腸内細菌叢解析における食事調査手法の検証及び最適化・標準化に向けた基礎的知見を得ることを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は本研究開始前の事前調査及び本試験開始に向けた倫理手続きの実施、および本試験開始に伴う被験者の集積を目標としていた。令和4年度中に全ての事前調査及び倫理手続きを完了し、被験者(第1グループ:10名)の登録及び本試験の開始が出来ていることから、本研究は「概ね順調に進展している」と評価している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は本試験の遂行(第1グループ)及び更なる被験者の集積(第2グループ:30名)を予定している。令和5年度末までには解析を開始し,学会発表等で公表するための準備を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度に使用を予定していた、次世代シーケンサーによる腸内細菌叢の遺伝子配列決定に必要な外注費用(生物技研株式会社)に関して、一定のサンプル数を外注する方が1サンプルあたりの外注費用が下がるため、サンプル数を増やした上で令和5年度に外注することとした。そのため次年度使用額が生じている。
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