研究課題/領域番号 |
22K13611
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
古田 歩 県立広島大学, 地域創生学部, 助教 (40826541)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 真空包装 |
研究実績の概要 |
2023年度は,真空包装後の加熱がマダイ肉のテクスチャー,タンパク質特性および呈味特性に及ぼす影響を明らかにすることを目的として,真空包装なし(真空なし)あるいはあり(真空度99.9%,60秒間,真空あり)に分けた試料について,85℃および63℃で加熱後,水分含量測定,テクスチャー解析,DSC測定,筋繊維の観察,および呈味成分測定(核酸関連物質および遊離アミノ酸)を行った。 その結果,水分含量は,生試料と比較して,真空あり・63℃加熱では有意差が認められなかったものの,他の条件では有意に減少した。テクスチャー解析では,かたさ,もろさは真空包装の有無および加熱条件いずれの影響も受けなかったものの,凝集性および付着性は一部で有意差が認められた。サンプル厚は,真空なし・63℃加熱と比較して,他の条件で収縮した。DSC測定において,アクチンは真空包装の有無にかかわらず85℃では変性が完了していたものの,63℃では未変性部分が残存していた。また,筋線維の観察をSEMにより行ったところ,いずれの加熱条件においても,真空なしと比較して真空ありでは筋線維束間の間隙領域が少なく,密な構造をとっていた。一方,魚の主要な呈味成分である核酸関連物質および遊離アミノについて分析した値を階層的クラスター解析に供したところ,主に真空包装の有無によって特徴づけられた。 以上のことから,マダイ肉を真空包装後に加熱することによるテクスチャー変化には,加熱によるタンパク質の熱変性と真空包装による物理的圧迫が複合的に関与していると推察され,このことが,真空包装による水分保持効果にも影響していると推察された。加えて,真空包装によって,呈味成分変化にも影響を及ぼす可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究課題について,おおむね実験を遂行できたことから,2とした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究課題も,当初計画のとおり実験を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費およびその他の経費として計上した予算に余剰が生じたため,次年度使用額が生じた。これらについては,2024年度以降の研究課題遂行費用に充てる予定である。
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