研究実績の概要 |
本研究課題「茶粕廃棄物による臭気物質の除去および悪臭のマスキング作用に関する検討」における臭気物質の除去効果は,茶粕廃棄物に含まれている有機質成分の多寡に大きく依存すると考えている。そのため,初めの検討項目として茶粕の有効成分を量的に解析することを実施計画に含めている。用いる茶種は5分類21種(紅茶6種,緑茶4種,烏龍茶4種,ハーブ茶2種,健康茶5種)としていたが,先攻的に実施・報告した研究結果より(Chemical and Pharmaceutical Bulletin, 70, 254-260, 2022),水中の有害物質の吸着除去機構の解析に特に有用と考えられた10種(Assam, Kenya, Brown rice, Sencha, Pu-erh, Nacrissus, Rooibos, Rose hip, Barley, Mate)に絞り,その組み合わせから有効成分の解析に着手した。各茶粕から抽出した試料を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により解析し,クロロフィル,カテキン類(エピガロカテキン,エピガロカテキンガレート,エピカテキン,エピカテキンガレート),カフェイン,没食子酸の成分量を測定した。カテキン類およびクロロフィルは緑茶に多く,没食子酸は紅茶および烏龍茶に多く含まれていた。これら実数値のデータおよびその比較は,除去性能との相関性を評価する上で重要となる。今後は,茶粕の物理化学的性質として含有金属量や官能基量などを調査するとともに,臭気物質の除去性能についても検討を行う。
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