研究課題/領域番号 |
22K13624
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
奥田 秀巳 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50828077)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 道徳教育 / 特別の教科 道徳 / 心理的安全性 / 信頼 |
研究実績の概要 |
特別の教科となった道徳科においては、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、「子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める『対話的な学び』が実現できているかという視点」(文部科学省 2018)に立った授業改善が求められている。本研究は、道徳科において主体的・対話的で深い学びを実現する上で求められる、対話に際しての心理的安全性がいかにして成立するのかを理論的に明らかにすることを目的とする。 2022年度は、A.C.エドモンソンによる研究を中心に、組織行動論における心理的安全性の概念に関する先行研究を整理し、心理的安全性と道徳科における学びとの関わりを考察した。その際、道徳科における対話に際して求められる心理的安全性の構造について明らかにするために、主に心理的安全性とリーダーシップの関わりや、リーダーに求められる「状況的謙虚さ situational humility」の思考に注目して考察した。また、学校教育における心理的安全性の様相を明らかにするために、「子どもの哲学 philosophy for / with children」(P4C)において重要視されている「知的安全性 intellectual safety」と心理的安全性の概念を比較し、その相違点を考察するとともに、「子どもの哲学」が教室において形成を目指す「探究の共同体」と心理的安全性との関わりについて考察した。これらの研究成果は、2023年度に発行予定の書籍『国際地域研究Ⅴ』に所収の拙論において明らかにされる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的にかかわる心理的安全性の概念が道徳教育とどのようにかかわるのかを整理することができた。本研究にかかわる成果は、すでに2022年度に道徳教育に関する研究会において発表したほか、2023年度に発行される書籍に所収の論文として出版予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、主に組織行動論における心理的安全性の概念に関する先行研究を手がかりにしながら、道徳科における深い学びを実現する対話の環境について考察していく。なおその際、北海道内の学校を中心に、これまでコロナ禍の社会情勢もあり実施することが困難であった、実際の道徳科における学びの様相に関する調査を進めながら、道徳科の実践を踏まえた理論的研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の社会情勢を受け、当初予定より旅費申請が減少した。学会参加の旅費を中心として、次年度以降に使用予定である。
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