研究課題/領域番号 |
22K13648
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小松 翠 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 講師 (30777701)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 日本人学生 / 留学生 / リーダーシップ / 異文化インターメディエーター / 異文化間交流 |
研究実績の概要 |
本研究では、交流型授業を受講する女子大学生8名(日本人学生6名、留学生2名)を対象とし、半構造化インタビュー調査を行い、グループワークへの貢献やリーダーシップへの認識について質問を行った。インタビュー調査により得られたデータを文字化し、海外生活経験が1か月未満の日本人学生、1年以上の日本人学生、留学生の3つのグループごとにKJ法を援用し分析を行った。 その結果、海外生活経験が1か月未満の日本人学生は、自身に対するグループワークへの貢献のうち、<リーダーシップを発揮する行動の不足>のみ否定的な評価であったが、そのほかは自己に対しても他者に対してもグループワークへの貢献の認識がすべて肯定的であり、グループワークにおいてメンバー間で十分にリーダーシップが発揮されたと認識していた。 また、海外生活経験が1年以上の日本人学生は自分自身に対しては、<自身の授業外の活動を促す働きかけの少なさ>のみ否定的な評価をしており、他はすべて肯定的な評価で、概ね自身がグループワークに貢献し、リーダーシップを十分に発揮できたと捉えていた。他者に対してはリーダーシップが発揮できているという肯定的な評価を持つ一方で、日本人学生メンバーの積極性の不足やグループ全体に対する準備の不足など否定的評価を持っており、さらなる改善を希求していた。 一方、留学生は自身の貢献についてグループメンバーからの受容感や留学生独自の貢献の仕方が示されており、この点において日本人学生とは異なる性質のカテゴリーが得られた。また、日本での生活やコミュニケーションへの不慣れを感じ消極的になってしまった場面があり、十分にグループワークに貢献できなかったことに対する反省も述べらた。他者に対しては、海外生活経験が1年以上の日本人学生と同様に否定的な評価と肯定的な評価がされていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で対象者として想定していた首都圏大学に在籍する国際交流サークルのリーダー学生等の活動が中断していたり、新規メンバーの加入が思うように進まない状況であったりため、対象者への依頼が困難な状況が続いていた。コロナ禍の状況も改善してきたため、今年度はようやくインタビュー調査に着手する見通しがついてきたところである。
|
今後の研究の推進方策 |
上記の理由から、首都圏大学に在籍する国際交流サークルのリーダー学生等へのインタビューの実施は困難であったが、異文化間交流型の授業で、リーダーシップなどについてグループワークで学ぶ留学生と日本人学生を対象とした質的分析を行い、論文化した。この結果をもとに、今年度はインタビュー調査の準備を行い実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー実施の遅れに伴い、調査に伴う協力者への謝礼品やデータ整理に関するアルバイト雇用経費に変更が生じたため。今年度のインタビュー調査に伴い、使用する予定である。
|