研究課題/領域番号 |
22K13671
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研究機関 | 新潟リハビリテーション大学(大学院) |
研究代表者 |
森本 千恵 新潟リハビリテーション大学(大学院), 医療学部, 講師 (90935389)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 小脳 / 思春期 / 自閉スペクトラム症特性 / 乳幼児期体重変化 / 父母年齢 |
研究実績の概要 |
本研究目的は、①思春期の精神的不調が、小脳の形態発達(小脳体積・小脳体積と大脳体積の相関性)に伴いどのように引き起こされるか、②「乳幼児期/思春期の心身発育・社会環境要因」と「思春期の小脳の形態発達」との関係・相互作用が、精神的不調にどのような影響を及ぼすか、という2つの学術的「問い」の検証を通して、思春期の精神的不調に関与するメカニズムを、脳科学的基盤と発達的基盤から解明することである。2023年度までに、思春期コホート第1期(11歳)、第2期(13歳)、第3期(15歳)のデータを用いて解析を実施してきた。 ①の問いについて:思春期の自閉スペクトラム症特性は、精神的不調との関連性が指摘されている。そこで、本研究ではまず、自閉スペクトラム症特性が思春期小脳の形態発達にどのように関連するかについて解析を実施した。その結果、自閉スペクトラム症特性は、女性において、思春期小脳の形態発達と関連性があることが示された。また、その関連パターンは、小脳領域や脳組織(灰白質/白質)で異なっていた。 ②の問いについて:乳幼児期の心身発育に関しては「乳幼児期の体重変化」について、社会環境要因に関しては「父母の年齢」について着目して解析を行った。その結果、乳幼児期の体重増加が少ない群、また、父母の年齢が高い群で、自閉スペクトラム症特性と思春期小脳の形態発達との関連性がより強くなっていることが示された。 本解析の結果は、思春期の精神的不調に関連する自閉スペクトラム症特性のメカニズムを理解することや、その予防に役立つものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度中に、解析をまとめ国際雑誌に2本投稿する予定であった。しかし、解析や論文執筆に予想以上に時間を要したため、論文発表は2024年度中になる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、第3期までのデータを使用し、行動・情緒と思春期小脳の形態発達との関連性の解析と論文化を進めている。この研究の実施と並行して、今後は、17歳(第4期)および19歳(第5期)のデータを含めて解析を実施し、より長期にわたる思春期発達の中で、小脳が思春期の精神的不調に関与するメカニズムについて、脳科学的基盤と発達的基盤から解明することを目指していく。 これまでの解析から、高次の認知や情動に関わる小脳領域が、精神的不調に関わる可能性が示唆された。小脳は大脳と密に連関しながら、高次の認知や情動に関与するため、今後は小脳-大脳連関における構造的・機能的解析を含め、研究を実施する。 今後の解析では、全脳レベルの解析を大規模データで実施する必要があるため、2023年度中にパソコンを購入した。また、脳画像解析技術の向上のため、研修会に参加してきた。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、解析および論文化が遅れたため、学会参加費や論文発表に必要な経費を使用しなかった。2024年度に、国内・国際学会への参加や論文発表に必要な費用として使用する予定である。
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