研究課題/領域番号 |
22K13704
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
佐野 幹 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (90791616)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | マンガ / 教材 / 実践史 / メディア / 国語 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、マンガ特性を活用した国語教材の開発である。現代の多様式化した情報社会に対応した国語学力の育成を実現させるために、マンガを活用し、メディア特性への気づきをも射程に入れた必然性のある教材モデルを提示し、普及を図る。そのために、三つの目標を設定した。一つ目は、先行実践の整理であり、二つ目は教材の開発であり、三つ目は研究成果の発信である。 令和3年度においては、一つ目の先行実践の整理を主として取り組んだ。調査対象は雑誌・図書としたが、該当年度内では、単元学習の理念を持ち、広い範囲の教材を活用した実践を多く報告している『月刊国語教育研究』を調査した。1977年~2022年までの雑誌を調査し、120点余りの、マンガを教材とした実践報告書を収集することができた。これらの実践報告書を目的別に「題材」「表現の手段」「情報の収集」「調査の対象」「創作」「創作の補助」「記録・メモ」「内容の理解」「メディア特性の理解」「学習・教材への興味喚起」「読みの対象」「構成の理解」「その他」に分類し、その内容の特徴と傾向を整理することができた。現在、論文執筆に取り組んでおり、近く学会誌に投稿する計画である。 またこれに加え、当該年度には、先行研究の調査とマンガ文化の調査も行った。国語科における先行研究を整理し、マンガ表現論、マンガ文化論等の文献や博物館の情報などから、マンガメディアの特性を理解するための知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度においては、先行実践の整理を主として取り組んだ。調査対象は雑誌・図書としていたが、図書に関しては、コロナ禍の影響により、他大学図書館への訪問が規制され実行することがかなわなかった。そのため、当該年度は雑誌の調査に対象を絞り、1977年から2022年までに発行された『月刊国語教育研究』の中の実践報告書を調査し、120点余りの、マンガを教材とした実践報告書を収集した。実践報告書を目的別に分類し、その内容の特徴と傾向を整理することができた。図書を対象とすることはできなかったものの、過去の実践の傾向を把握するに十分なサンプルを集めることができた。当初の計画では、当該年度に「国語科教育におけるマンガ実践史」と題して論文で発表する予定であったが、発表にまでは至らなかった。現在、論文執筆に取り組んでおり、近く発表する計画である。 またこれに加え、当該年度には、先行研究の調査とマンガ文化の調査も行った。国語科における先行研究を整理し、マンガ表現論、マンガ文化論等の文献や博物館の情報などから、マンガメディアの特性を理解するための知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、第2フェーズに移行する。先行実践の整理をふまえた上で、マンガ表現論の理論を援用し、より効果的で必然性のある、「メディア特性に気づく」ための教材の開発を行う。開発した教材は、大学のゼミや教育法の講義で模擬実践を行った上で、その結果を分析・考察し、小・中学生用の教材に修正して附属学園で試行する計画である。試行した教材の効果に関する検証については、パフォーマンス評価および質問紙法を用いる。パフォーマンス評価については、附属学園の国語チームと協力して学習者の実態に即したルーブリックを作成する。質問紙法では、質的なデータを取り、それらをカテゴライズし、どのような気づきが生まれたのかを解明し類別する。 進捗状況がやや遅れているため、当初の計画では試行教材を複数用意する予定であったが、教材と実験内容を精選し、実践の検証に時間をかけることとする。 また、ここまでの成果を10月の学会で発表することとし、それに向けて着実に教材の開発と実践の検証を行う。 来年度の第三フェーズ段階は普及活動の期間となるが、遅れている分は、第三フェーズ中においても研究を進めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に必要としなかったため繰り越した。図書・雑誌の購入経費として使用する計画である。
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